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氏族伝道の心理学 15
縦的な解決方法

 光言社書籍シリーズで好評だった『氏族伝道の心理学』を再配信でお届けします。
 臨床心理士の大知勇治氏が、心理学の観点から氏族伝道を解き明かします。

大知 勇治・著

(光言社・刊『成約時代の牧会カウンセリング 氏族伝道の心理学』より)

第2章 心の問題と復帰歴史

縦的な解決方法
 では、縦的な視点に立った、縦的な解決方法とは、どのようなものなのでしょうか。具体的にどのように解決をしていけばよいのでしょうか。

 そのことを考える前に、不安と怒りについて、歴史的な問題として、もう一つ考えておかなければならないことがあります。

 不安と怒りの背景には「孤独」があると述べました。不安と怒りは、私たちの中の自尊感情の低さから生まれてくるものであり、自尊感情の低さは、小さい頃の、特に親からの否定的なメッセージから来ています。そのため自尊感情が低い人は、孤独感を抱えており、その孤独感が不安や怒りの背景にあるということです。

 堕落を引き起こしたルーシェルは、神様がアダムとエバを愛されるのを見て、孤独を感じたし、カインも、アベルだけが神様に供え物を受け取られるのを見て、孤独を感じていたということです。その孤独感が、不安と怒りにつながっていったのです。

 ところで、ルーシェルもカインも孤独であったと述べましたが、歴史上、一番孤独だったのは誰でしょうか。

 「統一原理」を学んだ者であれば誰でも知っているように、それは神様です。人類の堕落によって、家族も、万物も、すべてを失ってしまったのが神様です。どんなに孤独でも、堕落人間には家族がいます。慰めてくれる自然界があります。ルーシェルも孤独であったとはいえ、人類の堕落により、偽りの関係であったとしても、家族をもつこととなりました。しかし、神様は、本然の相対関係を結ぶ家族も万物も、何もかもなくなってしまったのです。ですから、歴史上一番孤独だったのは、間違いなく神様なのです。

 ところで、孤独は不安と怒りにつながると述べました。では、神様はどうだったのでしょうか。神様と人間は親子なので、同じ情の構造をもっているはずです。ということは、神様も、孤独の中にあって、孤独は不安と怒りに変わったのではないでしょうか。

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 次回は「神様の不安と怒り、真(まこと)の父母様の歩み」をお届けします。


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