2020.08.03 17:00
コラム・週刊Blessed Life 127
ポンぺオ国務長官の歴史的演説
新海 一朗(コラムニスト)
2020年7月23日、米国のポンぺオ国務長官はカリフォルニアのニクソン大統領記念図書館で「中国共産主義と自由世界の未来」と題する演説を行いました。
ポンぺオ長官の演説は、現在の米中関係の緊張から見れば当然かもしれないと思わせる一つの宣言でした。その演説は、十分に意識された「歴史的宣言」とも言うべき内容であり、米国は「共産主義の中国」とたもとを分かち、「自由世界の未来」を毅然(きぜん)と守り抜くことを明らかにしたものでした。
ニクソン大統領が開いた中国への関与政策は、ソ連を封じ込めるためには意味があったかもしれませんが、今となっては、この関与政策は古い方法論になっているという明確な認識がポンぺオ長官によって示されたと言えます。
アメリカをはじめとする自由主義諸国は、共産主義中国の経済を支援し成長させてきましたが、中国共産党政府は中国経済を助けたアメリカその他の自由世界にかみついてきた、そういう結果しか残さなかったと、長官は中国支援の現代史を振り返っています。
「中国に特別な優遇措置を与え、西側諸国は中国への企業進出を図ったが、中国共産党は西側の企業を受け入れる代わりに、人権問題には絶対に言及しないようにと強要した」「残念ながら、その方針を西側は受け入れ、中国の言いなりになってしまった」という強烈な反省の弁を、法輪功やウイグルの事実を思い浮かべながら述べています。
ニクソン大統領はかつて、中国共産党に世界を開いたことによって「フランケンシュタインを作ってしまったのではないかと心配している」と語ったことがありますが、何と先見の明があったことかと、ポンぺオ長官は語っています。
「今日の中国は国内では独裁主義的となり、国外では自由世界への敵意をむき出しにして、攻撃的になっている」「いくら対話しても言葉ばかりで中国は態度を変えない。中国は彼らの共産主義イデオロギーによって世界覇権への野望を抱いているが、この姿勢はまさに習近平総書記が破綻した全体主義のイデオロギーの真の信奉者であることを表している」とポンぺオ長官は共産主義中国の本質を明確に語っています。
「自由世界の諸国は、より創造的かつ断固たる方法で、中国共産党の態度を変えさせなければならない。中国共産党政府の行動は、われわれの国民と繁栄をおびやかしているからだ」とポンぺオ長官は警鐘を鳴らしています。
7月23日はどういう日でしょうか。
1921年7月23日に中国共産党は結成されました。この日を狙ってポンぺオ長官が演説したということは、結成日に中国共産党の壊滅宣言を行ったという意味であり、米国は自由世界を断固として守護する、自由世界への挑戦と破壊を目指す中国共産党のもくろみは崩れ去るであろう、という宣言であったということです。
ポンぺオ国務長官の演説は周到に準備されたものでした。それは米国の決意を世界に宣言する「歴史的スピーチ」であったのです。もはや、後戻りはできません。米国は中国共産党の支配を終わらせようとしています。
中国共産党の狡知(こうち、悪知恵)と共に歩もうとする自由世界諸国は、はっきりと目覚め、きっぱりと中国と手を切る以外にありません。