家族の絆づくり 124
感動の輪が広がる虐待を受けた子供の挑戦

ナビゲーター:阿部 美樹

年々、増加する児童虐待
 2019年の1年間で警察に通告された虐待児童の数は98222人(前年比22.4%)、児童虐待の検挙件数は1972件(前年比42.9%)と、過去最多を更新したことが警察庁の状況調査で発表されました。

 子供にとって親との関係ほど大きく影響を与えるものはないにもかかわらず、虐待の加害者の多くが親であることは深刻な問題です。

 そのような中、海外から「虐待を受けた子供の姿が多くの人に感動を与えた」というニュースが飛び込んできました。

虐待で両足失った男の子、病院に15千万円を寄付
 「ハフポスト日本版」から引用します。

 実親から虐待を受け、両足を失い義足になったイギリスの男児が、10キロ歩く目標を掲げて小児病院への寄付を呼びかけた。この挑戦への共感が広がり、想定を大幅に上回る寄付が集まった。命を救ってくれた病院への「恩返し」に、反響が広がっている。

 CNNによると、男児はトニー・ハッジール。生後間もない頃に父母から虐待を受け、両足を失った。その後「エヴェリーナ・ロンドン小児病院」で保護されて治療を受け、養親に引き取られた。

 トニーは義足を使って1か月間で10キロ歩くことで募金を呼びかけ、自身を手術した小児病院に寄付することを思い立った。当初の目標は500ポンド(約7万円)だったが、寄付金は瞬く間に膨らみ、7月1日時点で110万ポンド(約1億5千万円)に上った。キャサリン妃やデービッド・キャメロン元首相など著名人もトニーの挑戦に賛同した。

 トニーはなぜこのような挑戦を思い立ったのか?

 新型コロナウイルス対策の最前線に立つ医師らを支援しようと、99歳の元陸軍大尉トム・ムーアが自宅の庭を100往復することで寄付を募った挑戦が、トニーを感化させた。BBCによると、「キャプテン・ムーア」の愛称で親しまれた元軍人は、このプロジェクトで27億円以上の募金を集め、国民保健サービス(NHS)に寄付していた。

 トニーは松葉杖を使って歩行し、予定より5日間早く目標距離を達成した。トニーの養母はCNNのインタビューに、「数週間前まで、トニーがほんの数歩しか歩けなかったことを思うと信じられないくらいです。彼はとても強くて、意志の強い子で、私たちはとても誇りに思います」と述べた。

 養父母は、寄付先の小児病院が「トニーにとって第2の家」と語る。トニーは松葉杖を使った歩行のトレーニングをこれからも続けるという。

オリジナル記事


 ほんの数歩しか歩けなかった子供が10km歩くという快挙は奇跡的な出来事です。
 虐待を受けた人や不自由な体になった人は、それを負い目にして消極的な人生になる人が多い中、あえて弱みを強みに変えて挑戦する姿は多くの人に感動を与えます。

 そこには、「為に生きる」「限界に挑戦する」「継続する」という要素があります。私たちも、身近なことから相続して何かに挑戦して実践していきたいものです。