青少年事情と教育を考える 120
子供が将来のための資質を育む体験活動

ナビゲーター:中田 孝誠

 子供たちが将来、社会を生き抜くために必要な資質・能力は何か。それを育むために大切な体験は何か―。

 国立青少年教育振興機構が今年3月、そのような研究報告(中間まとめ)を公表しました。「発達段階に応じた望ましい体験の在り方に関する調査研究」という報告です。

 この中で、子供たちにとって必要な12の資質・能力を選び、それを育む20の体験活動や生活習慣について、子供の成長を支える環境としてまとめています。親にとっては子育てのヒントになるものです。

 12の資質・能力というのは、「学ぶ力」「礼儀作法」「やり抜く力」「コミュニケーション力」「健康管理」「自己肯定感」「積極性」「協調性」「道徳観」「自立心」「勤労観」「公共心」です。

 こうした資質・能力を育てる上で大切になるのが、子供の頃の次のような体験や生活習慣です。

 体験活動では、例えば、キャンプや登山、サイクリングなどの「自然体験」、子ども会や委員会活動、クラブなど「集団行動」です。また、祭りやスポーツ大会などの「地域行事」、清掃活動や募金活動、環境保全活動、地域おこし、まちづくりといった「社会貢献」もあります。「職業体験」や「文化芸術体験」なども挙げています。

 生活習慣では、早寝早起き朝ごはんなど「規則正しい生活」、買い物や掃除などの「お手伝い」、鬼ごっこやかくれんぼなどの「遊び」です。「運動・スポーツ」「読書」「動植物とのふれあい」「家族行事」もあります。家族行事は、誕生日のお祝い、お墓参りや季節の行事などです。
 そして、家族や友達、先生、地域の人との「かかわり」が大切だと述べています。

 こうした体験活動は、家庭や学校、地域が舞台になります。それには、家庭と地域社会の基盤がしっかりとしていてこそ可能です。しかし今は、地域のつながりが弱まり、家庭の弱体化も深刻になっています。

 このような点からも、家庭や地域社会のつながりを取り戻していくことが大切だと言えるのではないでしょうか。