家族の絆づくり 118
「肯定的に生きる」よりも「承認的に生きる」

ナビゲーター:阿部 美樹

否定的な発想が悪なのか?
 幸せな生き方、成功を呼び込む生き方に対して、「肯定的な発想」「前向きな生き方」「積極的な姿勢」などといったさまざまな表現があります。

 では、「否定的な発想」「後ろ向きの生き方」「消極的な姿勢」は、本当にいけないことなのでしょうか。

 電極はプラスとマイナスがあり、プラスだけでは成り立ちません。車を運転する時に、前に進むのは良いが後退してはいけないといえば、運転が成り立ちません。
 一日24時間、積極的に活動し続けられる人はいません。激しく動くことも必要ですが、慎重に考えることあるし、ゆっくりとした休憩や睡眠も不可欠です。

 ですから、「陽陰」のバランスをもって生きることこそ、心地よい自然な生き方なのです。

創造本性で生きる二つの特徴
 言い換えれば、「創造本性で生きる」ことこそ、幸せな生き方です。「創造本性で生きる」ことは、「肯定的に生きる」こととは違い、二つの特徴があります。

 第1の特徴は、「創造主である神様(天の父母様)を中心とした生き方」です。創造本性とは、「神が創造した本然の性稟」です。
 堕落人間は、神中心から自己中心になり「堕落性本性」を受け継いでしまいました。しかし人間の本然の姿は「神の子女」です。神の核心が「心情」であるならば、神の子女としての心情は「孝情」です。神への孝情が全ての出発点になることが重要です。

 第2の特徴は、「二性性相の中和的主体の神に似た性稟(せいひん)」です。上述したように「陽性と陰性」のバランス、「性相と形状」のバランスを持った性稟だということです。

 「統一思想要綱」には次のように説明されています。
 「心には知情意の三機能がある。この知情意のそれぞれの機能に陽的な面と陰的な面があるのである。知の陽的な面は、明晰、記憶、想起力、判明、才知などである。それに対して知の陰的な面は、模糊、忘却、記銘力、混同、生真面目などをいう。情の陽的な面は、愉快、騒がしい、喜び、興奮などであり、情の陰的な面は、不快、静粛、悲しみ、沈着などである。意においては、積極的、攻撃的、創造的、軽率性などが陽的な面で、消極的、包括的、保守的、慎重性などが陰的な面である」(「統一思想要綱」170ページ)

 このように、陽的な面と陰的な面は、両方が必要かつ善なるものとして神が創造しました。しかし「陰的な面」を欠点やあってはならないものと考える傾向があります。
 自己中心の動機は堕落性本性を誘発するので気をつけなければなりませんが、陽的な面でも陰的な面でも両方を受け入れる生き方が必要です。それこそが「承認的な生き方」です。 

 全ての出来事、出会い、感情などを神がくださった必要なものとして受け入れること、承認することです。
 意味のないことは起こりませんし、必要のない出会いもありません。湧いてくる感情も意味があります。神のみ意(こころ)に気付き、意味を感じ取るならば、成長の糧(かて)、より大きな幸せをつかむきっかけになることでしょう。