夫婦愛を育む 116
「○○さん、かっこいい!」

ナビゲーター:橘 幸世

 同年代の友人Nさんいわく、彼女の旦那さまは「後ろ姿が」かっこいいそうです。

 一時は年齢的なものから余分なものがあちこちに付いていましたが、昨年から夜10分ほどの筋トレを始め、だいぶスッキリしたとのこと。仕事で疲れているのに、毎夜筋トレを続けていることに尊敬の念も含め、Nさんは朝出勤するご主人に「○○さん、今日もかっこい~い」と言って手を振ります(もちろん、「後ろ姿が」とは言いません)。

 するとご主人も「Nさんも今日も~~だよ」と称賛の言葉を返してくれるそうです(きっと、奥さんの言葉があるから、ご主人は余計に筋トレを頑張れるのでしょうね)。

 一日をそんなふうに出発できたら、お互いどれほど気分がいいでしょう。仕事で嫌な事があっても、気持ちの面で随分支えられていることでしょう。相手の良い点を見てそれを言葉に出して言う、というシンプルな原則はやはり最強です。

 同じ自粛や在宅勤務の中にあっても、コロナ離婚だ、いやかえって夫婦仲が良くなった、とカップルによって正反対の展開になります。

 一緒にいる時間が長ければ、感じ方や性格が異なる人間同士、ぶつかることが増えるのは自然でしょう。ぶつかって相手に愛想をつかすか、違いを理解して互いの気持ちを尊重する言動を取るよう努めるか、それまでふたをしてきた問題も含めてとことん向き合って話し合ってみるか……。
 課題への対処の仕方次第では、二人の間に新しい世界が開けるかもしれません。

 コロナ禍の中、あらゆる次元でさまざまな取り組みがなされています。既成概念にとらわれない自由な発想、新しい動きに、時に感動すら覚えます。

 ある企業は、飲食店の自粛によって余ったビールをビール会社から無償で提供してもらい、それを元に除菌用アルコールをつくって寄付しています。
 医療従事者に、タクシーによる送迎を無料で提供する動きもあります。公共交通機関を利用するのも気が引けるという医療従事者のかたがたと、外出自粛でお客さんが減ったタクシー業界を、イベント企画会社がマッチングしました。タクシー会社に払う資金は、医療従事者を支援したいという人々からクラウドファンディングで募ります。

 人間の知恵や創造性の素晴らしさを感じます。
 また、航空会社職員が医療用ガウンの製造に携わったり、旅館の職員が農作業を手伝ったりと、自分の枠を超えて動いています。きっと、新しい景色が見えていることでしょう。

 もし、配偶者の嫌な点が多く見えてしまっているなら、「そんな人だったのか」とがっかりする前に、まだ見えていない相手の良い点を引き出す工夫をしてみる時かもしれません。

 これまでと違った視点で家族関係を見つめ直し、必要ならば構築し直す良い機会にしていきたいものです。 家庭の中にも新しい風を吹かせましょう。