2020.05.12 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 115
米国聖職者指導者会議(ACLC)の歴史⑥
「ユダヤ教徒とキリスト教徒の和解と調和の会議」と「エルサレム宣言」
ナビゲーター:石丸 志信
2003年5月15日、ローマ巡礼を終えた米国のキリスト教聖職者一行はイスラエルに入った。初めて聖都エルサレムを訪れた牧師も多い。
彼らは、2000年前イスラエルの歴史のただ中に来られたイエス・キリストの生涯をたどる三日間の巡礼を行った。
三日目の朝、巡礼団はエルサレム旧市街の聖墳墓教会に向かった。この大きなドームは、イエス・キリストが十字架にかけられたゴルゴタの丘とその傍らの墓を覆っている。
聖墳墓教会
彼らは、教会から下ろした十字架を受難の現場に運び祈った。その後、「血の畑」に移動し、そこに十字架を埋葬した。この場には、ユダヤ教のラビも加わり、牧師たちと共に祈っている。
巡礼を終えた一行は、「ユダヤ教徒とキリスト教徒の和解と調和の会議」に臨んだ。ユダヤ教・キリスト教指導者各120人が参加した会議の成果は「エルサレム宣言」として発表された。
その文面には「われわれユダヤ人はイエスを殺したことを悔い改める」とあった。
ユダヤ教側が猛烈に反発する一言だが、キリスト教からは「私たちこそイエスの十字架の意味を知らず、ユダヤ人を迫害してきたことを悔い改める」とゆるしを請うことで和解することができた。「敵対のしるし」であった十字架の真実に向き合い、悔い改めを通して一つとなった。
この出来事がACLC(米国聖職者指導者会議)の歴史の始まりであり、中東イニシアチブ(MEPI)の本質を示している。