青少年事情と教育を考える 110
青少年のネット時間が増加、中心は「趣味・娯楽」

ナビゲーター:中田 孝誠

 青少年のインターネット利用についての最新調査が、先月、内閣府から発表されました。

 調査は今年1月から2月にかけて行われたもので、満10歳〜17歳の青少年(3194人)と保護者(3384人)が回答しました。
 利用する機器は、小学生はスマートフォンと携帯ゲーム機、中学生と高校生ではスマートフォンが中心です。

出典:内閣府「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」
(画像をタップすると拡大してご覧になれます)

 平日のインターネットの平均利用時間は、小学生が129.1分(このうち「3時間以上」の利用が29.3%)、中学生は176.1分(同45.8%)、高校生は247.8分(同66.3%)でした。

 どの世代も利用時間は年々増加していて、小学生は前年より約11分、中学生は約12分、高校生は一気に31分も増加しました。
 もちろん、勉強のために利用することもあります。それでも平均すると33.3分で、前年度より減少していました。一方、「趣味・娯楽」は119.5分で、14分増加しています。具体的には「コミュニケーション」「動画視聴」「ゲーム」などが上位になっています。

 もう一つ、以前も本欄で紹介しましたが、「家庭でルールを決めている」という意識が子供と保護者でギャップがあります。

 「ルールを決めている」と認識しているのは、小学生では77.7%、保護者が88.3%、中学生では63.6%、保護者が80.4%、高校生が38.6%、保護者が62.6%です。ルールというのは、利用する時間や中身が主です。

 ところで、今月から香川県のインターネット・ゲーム依存症対策条例が施行されました。子供たちのゲームは1日60分、スマホの利用については、中学生以下は午後9時まで、それ以上は午後10時までという目安を示しています。この目安を参考に、家庭でのルール作りをしてもらおうというものです。

 この条例に対しては、現在もメディアや業界、識者の一部などから「私的なことへの介入」「科学的根拠がない」といった批判があります。ただ、罰則はないのですから、介入とまではいえないのではないでしょうか。

 また、条例は親子の愛着の形成や屋外での遊び場の確保、体験活動など、子育てに関わる重要な内容を提案しています。

 今回の調査でも見られるように、子供たちのネットの利用時間はコミュニケーションやゲームなどの「趣味・娯楽」を中心に増え続けています。

 家庭の教育力を今一度見直す意味でも、こうした指針は意味があるといえるでしょう。