コラム・週刊Blessed Life 3
本当の働き方とは

新海一朗(コラムニスト)

 二宮尊徳の『二宮翁夜話』を読んでいるが、この人物はほとんど大宗教家であるといった感を免れることができない。
 「経世済民(世をおさめ民をすくう)」の経済政策の実践に一身を擲(なげう)ち、荒廃した農村の立て直しと復興をなした。尊徳の教えによって、再生を果たした村は全国の600以上の村々に及んだというから驚きである。
 『二宮翁夜話』の中に、「夫れ、我が教へは書籍を尊まず。故に天地を以って経文とす」とあり、誠の道は天地の道理(天地の道理の原因である神の真理)として見いだされるという考えを表明している。

 人は何らかの経済活動に携わっており、妻子を養い、幸せな家庭を築くために汗水流して働いている。しかし、尊徳のように、天地自然に感謝し、天地の恩に報いるという高邁な精神で働いているかどうか自問すると甚だ心許ない。
 働き方改革に取り組むのはよいが、本当の働き方を二宮尊徳に学ぶ必要があるのではないかというのが今の気持ちである。