2020.01.28 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
第201回通常国会召集、注目される改憲論議
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
1月20日から26日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
通常国会召集(20日)。海上自衛隊P-3C部隊、中東で新任務開始(20日)。立憲、国民、合流見送り(21日)。北朝鮮、張成沢氏の妻健在、金正恩氏と公演鑑賞(25日)。習近平指導部、新型肺炎対策で直属チーム設置、春節に異例の会議(25日)、などです。
今回は通常国会、特に憲法改正に関する内容を取り上げます。
第201回通常国会が1月20日に召集されました。会期は150日間、6月17日までとなります。その後、東京都知事選挙(投開票日が7月5日)、オリンピック・パラリンピック開催(開始が7月24日)と続き、会期延長は難しいといわれています。
安倍首相は昨年、臨時国会が閉会となる12月9日に記者会見し、「国民投票法の改正がなされなかったことは誠に残念だ。自民党が先頭に立って国民的議論を高める中で、憲法改正に向けた歩みを一歩一歩着実に進めていきたい。令和の時代にふさわしい憲法改正原案の作成を加速させたい。憲法改正はたやすいことではないが、私の手で成し遂げていきたい」と強調しました。
さらに今年1月16日、憲法をテーマに新たな講座が開設された自民党の機関である「中央政治大学院」であいさつし、講座のスタートに当たって改憲への強い意欲を示しています。
安倍自民党総裁の任期は来年(2021年)9月までです。総裁任期中に開ける国会は慣例どおりに推移すれば残りは3国会となります。改憲を実現するには、その間に改憲原案をまとめて発議し、国民投票を実施する必要があります。
まず通常国会では、3月まで補正予算、新年度予算案の審議が優先されます。4月以降閉会までの期間に国民投票法改正案を成立させる必要があります。その内容は、今の国民投票法が成立した2010年から今まで、公職選挙法の改正があり国民の投票行動に関する内容が変わってきており、公職選挙法に今の国民投票法を合わせようとするものです。
そして、秋の臨時国会、衆・参憲法審査会を通じて憲法改正の原案が発議、審査され、来年1月の通常国会に付されなければなりません。その後、両院それぞれの本会議で3分の2以上の賛成で可決し、国会が憲法改正の発議を行って国民投票に付されるのです。
国民投票の実施は国会の発議から起算して60日以後180日以内となっています。安倍総裁の任期中の憲法改正は、このスケジュールしか考えられません。極めて困難であることが分かります。スケジュールを延長することはできません。本質的な改憲議論が必要です。
今後の展開を見守っていきましょう。