2020.01.21 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 100
9.11メモリアルで祈る②
追悼とともに、真の平和世界創出のために宗教者たちが共に祈る
ナビゲーター:石丸 志信
ニューヨークの冬は寒い。ところが、私たちが訪れた年末の数日間は、例外的に寒さが緩み、しかも快晴の一日。地上400メートルの展望台から見渡すニューヨークの眺めは最高だった。
真下に目を落とすと「9.11メモリアル」の正方形をしたリフレクション・プールが見える。しばらく眺めを楽しんだ後、一行は地上に降り立った。
2001年9月11日に起こった同時多発テロ事件では2996人が犠牲となり、6000人以上の負傷者を出した。彼らを追悼するとともに、神様が願う本来の平和な世界を創出するため、志を同じくする宗教者がここで声を上げて祈った。
イスラームの指導者が祈り始めると日本の仏教僧侶が声明の声を響かせた。
尼僧が美しい音色でお経を読むと、台湾の僧侶が続けた。
キリスト教牧師らは「主の祈り」を唱え、最後に皆が手を取り合って一つとなり、私がIAPD(平和と開発のための宗教者協議会)を代表して皆の心を束ねる祈りをささげた。
かつては重く悲しい空気が支配していた。
18年の歳月、どれほど多くの涙がここで流されたか分からない。しかし、破壊されたビルは新たに再興された。少しずつ穏やかさを取り戻してきている。