家族の絆づくり 90
「家庭の食卓」に家族関係が現れる!

ナビゲーター:阿部 美樹

食事の時間が楽しいですか?

 韓国ではあいさつする時、「こんにちは」の代わりに「食事しましたか?」と表現します。家族のことを「食口(シック)」ともいい、食事ができているかどうかを気にしたり、一緒に食べることを大切にしたりします。

 食事は生きる糧であると同時に、心を育む糧にもなります。
 前回、時間主管と空間主管の話をしましたが、家族で時間と空間を共有することこそ、「家庭の食卓」です。
 家族で楽しいこと、うれしいこと、おいしいことを、同じ場所で、同じ時間に共有しましょう。

 「食」は体の成長に応じた栄養素を提供すると同時に、家族のコミュニケーションを通して「四大愛」を育む場となります。お店で売っている食品よりも、可能な限り家族のことを思いながら手間暇かけて作る料理を準備するようにしましょう。

 しかし家族関係が悪いと、一緒に食事をしようとせず、別々になりがちです。どんなにおいしい食事でも、関係の悪い人と一緒に食べると楽しくないからです。

 家庭の食卓は、家族関係のバロメーターです。

「六つの“こ”食」という悪影響

 子供に悪影響を与える「六つの“こ”食」があります。

孤食(一人で食べる)
個食(家族がそろって食べているのに、別のものを食べる、個人の食事)
固食(いつも同じものを食べる、食べるものが固定)
粉食(パンや麺など、小麦粉食を主食とする)
小食(食事の量が少ない)
濃食(加工食品や味の濃いものを食べる)

 の六つです。

 このような偏った食生活は、健康を害したりするだけでなく、人格形成や家族との心のつながりにも悪影響を与えます。

 反対に、食事の準備に真心を尽くして、家族が一緒に、バランスの良い食事を、楽しい会話をしながら行えば、その食事は家族を幸せへと導いてくれることでしょう。