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お父さんのまなざし 7
父親の務め

(『グラフ新天地』459号[2006年9月]より)

 男手ひとつで3人の娘を育てるお父さんの、愛溢れる子育てコラムを毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 「子どもを見守ろう……」そう決心したお父さんのまなざしは、家でも学校でも、真っすぐ子供たちに注がれています。

コラムニスト 徳永 誠

 父親が子どもの教育に直接携わる機会は一般的に言ってそう多くはない。
 休日のアウトドアに熱心なお父さんや、スポーツクラブでコーチに励むお父さんの姿を想像するのは難くないが、学校教育の現場となると、お父さんのかかわりはかなり薄いという印象であろう。

 でも、お父さんにだって学校教育に参加できるチャンスはあるはず。

 そこで、お父さんたちにおすすめの教育活動(いずれも小学生を対象)を二つ提案してみたい。
 一つは「登校時のあいさつ運動」、もう一つは「“読み聞かせ”授業への参加」である。

▲筆者の娘さん(当時13歳)が描いた絵より

 あいさつ運動は、できれば月に一回、少なくとも学期に一回程度、子どもと一緒に登校するという活動である。

 家から学校の門までの道のりを子どもと共に歩いてみる。わが子と一緒に登校すれば、必然的にほかのお子さんたちと顔を合わせることになる。ここで、“あいさつ運動”である。
 知っている子にも知らない子にもあいさつをする。「おはよう!」と、ちゃんと目を見て元気に声を掛けるのがポイントだ。

 通学路にいるのは、子どもたちだけではない。地域の人々にも声を掛ける。

 最初、子どもは恥ずかしがって嫌がるかもしれない。でも、お父さんは信念と愛情を持ってやり続ける。わが子に何と言われようと、良い事ならば即実行! おのずと子どもたち(わが子も人の子も)はそんな大人の姿を通して大切なことを学んでいく。

 実践の結果、筆者は多くの子どもたちに顔を覚えてもらえることになった。
 通学路を一緒に歩くことで、親の防犯意識も高まるのだから、一石二鳥である。

 それから、お父さんの“読み聞かせ”授業への参加。
 多くの小学校では、月に一、二回程度、保護者が担当する“読み聞かせ”授業を行っている。
 読み聞かせの主役は圧倒的にお母さんたちだが、ここにお父さんが参加する価値と影響力は案外大きい。高学年には、「朗読」がお薦めだ。

 筆者は、五年生と六年生を対象に、太宰治の『走れメロス』の朗読に挑戦し、友情の大切さを説いた。
 大人の男性の声を生かせる作品選びがポイント。ちょっと演出も入れながら、“金八先生”になりきってみるのも悪くはない。

 家庭だけでなく、学校という場所でも、多くの子どもたちに“お父さんのまなざし”を向けてあげること、これも父親の務めではないだろうか。

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 次回もお楽しみに!