青少年事情と教育を考える 69
「児童・生徒に自信を持たせることができない」、日本の教員は自己評価が低い?

ナビゲーター:中田 孝誠

 前回、学校の先生の働き方と資質についての話題を取り上げましたが、それに関係する調査の結果がOECD(経済協力開発機構)から今月19日に発表されました。
 「国際教員指導環境調査(TALIS2018」です。

 これによると、日本の教員は小中学校とも、1週間当たりの仕事時間の合計が、調査対象の48カ国・地域の中で最も長いという結果でした。

 例えば、中学校の教員の仕事時間は56.0時間で、調査国平均の38.3時間を大きく上回っています。
 このうち、「指導(授業)」は18.0時間で平均(20.3時間)を下回っていますが、「一般的な事務業務」は5.6時間(平均2.7時間)、「課外活動の指導」が7.5時間(同1.9時間)で平均を大きく上回っています。
 以前から指摘されていますが、一般事務と部活動指導の軽減が、教員の働き方のポイントになっていることは確かです。

 一方、日本の教員は子供たちへの指導や授業の方法について、自分に自信を持つ教員の割合が低いという結果も出ています。

 例えば「児童・生徒に勉強ができると自信を持たせる」ことが「非常に良くできている」「かなりできている」と自己評価している日本の中学校教員は24.1%で、平均(86.3%)より大きく低下しています。

 「勉強にあまり関心を示さない児童・生徒に動機付けをする」は30.6%(同72.0%)、「児童・生徒が学習の価値を見いだせるよう工夫する」も33.9%(同82.8%)にとどまっています。小学校の教員もほぼ同様の傾向でした。

 もちろん、こうした国際比較調査の際に指摘されるように、日本人の謙虚さが低い自己評価になった可能性もありますが、それにしても低い数字です。

 教員になった動機として最も重要だったのは何かという質問には、「子供や若者の成長に影響を与えられること」という回答が最多の89.0%でした。

 つまり、ほとんどの教員は大きな志を持っているということです。その教員が自信を持って教育に取り組めるよう、内外の環境を整備することは不可欠です。そして、子供の教育は学校の教員だけでできるわけではありません。家庭(保護者)、そして地域社会が学校の取り組みをきちんと理解し、教員を支援し、良き連携を図れるように努力することが基本ではないかと思います。