愛の知恵袋 70
未来をつくる男女の出会いを見つめて

(APTF『真の家庭』184号[2014年2月]より)

関西心情教育研究所所長 林 信子

日本の少子化に危機感

 私が大阪で、ブライダル企画を始めてからもう10年以上。きっかけは、新聞に「日本の子供の出生率が減って来た!」とあるのを見たからです。

 日本は他の国との戦争を止めて平和な国となり、人口も増えているはずです。時に殺人事件などあっても多分、今世界中の国々の中で一番安定している国ではないでしょうか? お隣の中国では逆に少子化計画が勧められ、戸籍のない子供たちがあちこちに誕生しているようですが…。

 豊かで教育レベルの高い日本でありながら出生率が減った? そう言えばつい最近、「小学生が少なくなって1クラス20名で、運動会もしにくい」と小学校と中学校の先生が話していました。「少子化時代ね」と二人で笑ったけれど、日本の国にとって「家庭が楽になった」とは言えても人が減れば、事業も学校もさびれていく、人手不足でつぶれる会社も出るだろう、国力がずっと低くなる——。大問題です。

 考えれば、昔は出産年齢が低かった。16歳位から20歳位まで、30歳になれば5人も8人もの子供を持つ家庭もあった——。女性が20歳をこえると親も親戚も近所の人も気になって相手をさがしていたと思う。近ごろは、「結婚は本人が決めるものよ」と言う人が多いのと、女性が強くなり2030代で仕事を続けているからだと思いますが、女性の出産適齢期は20歳から30歳までです。30歳までに3人のお子さんを生まないと、子供のできない人もいて日本の人口は減るばかりです。

思いがけないカップルが誕生

 日本の人口を増やすために、私は結婚相談所を開いたのです。それも神様の願いを果たすために神の存在を信じる人を集めて、神様どうぞ男女2人、よいカップルを指示して下さい、と祈りはじめます。それが私のブライダルパーティー。だからいつも思いがけない人が来て、(思いがけない)とても素敵なカップルができます。

 定員はいつも男性20名、女性20名です。大阪のホテルですが、毎回雰囲気が変わります。私の挨拶で始めるのですが、次の自己紹介がカギ。

 ある時、壇に上った男性が「私は毎日海で魚をとっている」と舟歌をうたい大喝采。会場は最後まで賑やかでした。

 午後からがお相手を決める時間。毎回同じテーブルの人が年齢が近いおかげで半数以上が決まり、あとは60歳の男性と40歳の女性のカップルなどいろいろあります。決まってから壇上に上がってお二人のご挨拶になるのですが、これがまた誰がみてもいいカップル。私は毎回神様を感じます。

 かなり前の事ですが、自己紹介の時、何をおっしゃったのかわからない男性がいました。30歳代の方、でもそれを聞いていた30代の女性がその方を選びました。そして私にこの男性は「ここで結婚相手が決まる、と死んだ母が言った」と語ったことを教えてくれました。この女性は「それは私なのだ」と思ったというのです。「私は病院の看護婦。老人の世話をしてます。今日の彼の言葉がわかったのはたぶん私一人でしょう。神様が私に頼むよ、とおっしゃった気がします」と言うのです。「そうなの、ありがとう」。これを聞いた私も感激しました。

 またある時のお見合いパーティーでは、親と共に20歳代だったと思いますが、赤い服に赤いリボンの娘さん、とてもかわいいけれど話してみると、あまりに世間知らずといった感じの方でしたが、一番先に相手が決まりました。30代の無口な男の方でした。付き添いの男性が私に「彼は人と話すのが苦手な人で特に気の強い大人の女性とは合わないんですよ」と説明してくれ納得しました。その二人は3か月後に結婚しました。

 最後に紹介するのは、年齢は30歳。今でいうイケメン男性ですが、後ろに控えておられるのが大変な母親でした。当人を押しのけて花嫁探しに躍起です。けれどこちらも実に清楚で上品なお華の先生をしている女性が決まりました。その女性いわく「私は早くに母を亡くしているので、テキパキと導いて下さる義母のような人にそばにいてほしい」。世の中うまく出来ているものです。

導かれたカップルに希望ある未来を祈って

 尼崎に独りで住んでいた私は80歳を超え、パーキンソン病にもなり、娘夫婦の家で同居することになりました。

 自分の部屋にとじこもっていますが、先日、「今どこにおいでですか? 今から行きたいのですが」と若い男性から電話がありました。「娘の家よ」と番地を告げると、姫路から親子3人、車で2時間後に到着。2歳になる男の子を見せに来てくれたのです。5年前にブライダルパーティーで出会って結婚したお二人でした。

 やっと生まれた男の子。「親同然の先生に見てほしかった」と言われました。

 私はただ結婚に導いただけなのに、神様ありがとうございます、と夜はお礼の祈りを捧げました。今後もブライダル企画があちこちで成功裏に開催されることをお祈りしています。