青少年事情と教育を考える 67
若者の結婚を推進する自治体の取り組み

ナビゲーター:中田 孝誠

 少子化が進行する大きな要因は、若者の非婚化・晩婚化があるといわれています。
 それに対して、全国の自治体がどれくらい結婚を促進する取り組みをしているか。内閣府が今年3月、調査結果を公表しました。

 「地域少子化対策強化事業の効果検証と事例調査」という報告で、全国の自治体(47都道府県、1741市区町村)を対象に、少子化対策への取り組み状況を調査したものです。

 それによると、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に生む子供の数)の目標を掲げている自治体は、都道府県では74.5%、市区町村では53.0%です。
 具体的な目標値としては、政府は「1.8」を掲げていますが、都道府県では「1.4以上1.6未満」と「1.6以上1.8未満」がいずれも25.7%でした。

 自治体の「結婚に対する取り組み」を見ると、条例を制定しているのは都道府県で14.9%、市区町村では2.3%。取り組みの計画があるのは都道府県76.6%、市区町村18.2%でした。

 また、「結婚、妊娠と出産、子育てに温かい社会づくりの機運を醸成する取り組み」について、そのための条例を制定しているのは、都道府県で29.8%、市区町村で2.0%です。計画があるのは78.7%、24.0%でした。

 では、実際にどのようなことを行っているのでしょうか。
 平成29年度を見ると、「情報発信」が93.6%で最も高くなっています。「企業・団体等と連携」して希望者に情報を提供する取り組みも83.6%の都道府県が行っています。次いで多いのが「独身者向け婚活セミナー・講演会等」で70.2%です。また、市区町村では「婚活イベント」が53.4%で最多です。

 報告書の中では、具体的事例として、滋賀県の「滋賀でもっと家族になろう推進事業」や愛媛県の「愛顔の婚活サポート事業」などが紹介されています。

 滋賀県では、結婚から子育てまでの切れ目のない取り組みを行っていることや、国の交付金によってライフデザイン教育に取り組んでいること、そして社会全体で若い世代の結婚を応援する機運を醸成する取り組みが広がっていることが紹介されています。

 婚活セミナーなどのイベントは、参加者を集めることが簡単ではありません。どれだけ効果が上がっているかも随時検証していく必要があるでしょう。それでも人口減少が進む中、自治体レベルで結婚と家族、子育ての政策を総合的に捉え、具体的に取り組む機会が増えることが重要ではないかと思います。