自叙伝書写 感動体験集

第70回 息子への愛と書写で就職が決まる

(鳥取県、70代 女性)

 私は4年ほど前に主人を亡くしました。

 話し相手もなく日ごとに寂しさが募っていました。そんな中、長男の勤務先が経営不振に陥り、長男はリストラの対象になりました。

 慌ただしい日々が過ぎた頃、書写との出会いがありました。

 住宅ローンなどもあり、新たな仕事を探さなければならない不安や、これからの生活に対するいろいろな問題が生じてきました。私は年金収入だけなので、少しでも家庭に経済的援助をしたいと思いつつも、私の年齢では勤め先を探すのもなかなか難しく、以前も何度か探しましたが、見つかりませんでした。

 気分が落ち込み、どうすればいいのかと悩んでいた時でした。
 「そうだ! 書写に集中すれば何かが変わるかもしれない」と思い、書写を始めることにしました。

 最初は一週間から始め、少しずつ期間を延ばしていき、「しあわせ講座」に参加したり、「お花見書写会」に参加する中で友達も増え、ビデオなどで学ぶ機会も多くなりました。

 自分自身の考え方、捉え方に少しずつ変化が出てきたように感じました。自分が変わらないと何も変わらないと思うようになりました。

 5月の連休前、新聞のチラシで求人募集を見つけました。
 「年齢制限でだめかな」と思いましたが、応募したところ採用が決まりました。しかし、仕事の内容は今までの職種とは180度異なる接客業で、レストランのフロアや、洗い場の仕事です。職場では私が一番年齢が上で、毎日同僚から「動作がのろい。丁寧過ぎて時間がかかり過ぎる」と陰口を言われていました。

 どうして自分だけが言われるのかと、心で涙しながら我慢していました。しかし、今の自分に与えられた「試練」「教え」「導き」なのだと捉えられるようになり、一生懸命頑張りました。

 今では私が一歩引いて、素直に受け止めて「ハイ」と返事をし、楽しく仕事をするようにしています。その後、陰口は少なくなりました。また次男も私が朝早くから毎日仕事に出掛けているのを知って、「お母さん、雨がひどく降っているんだけど、どうするの」と優しい言葉を掛けてくれるようになりました。とてもうれしかったです。

 これからも書写を続けることで、たくさんの幸せが寄ってくることを信じて頑張っていきたいと思います。