家族の絆づくり 68
「良い授受作用」と「悪い授受作用」

ナビゲーター:阿部 美樹

対話をしても深まらないコミュニケーション

 人間関係の関わりの中で愛を育み絆を結ぶためには、「円滑で豊かなコミュニケーション」が必要です。
 家族関係などにおいて、あなたはどのようなコミュニケーションを取っていますか?

 統一原理は、「授受作用」という発展の原理について説明しています。
 「授けること」と「受けること」の作用ですが、具体的には「主体と対象とが・・・良く授け良く受ければ・・・生存と繁殖と作用などのための力を発生する」(『原理講論』より)という内容です。

 ここで注目したいのは、「良く授け良く受ける」というならば、「悪く授け、悪く受ける」こともあるということです。
 対話という授受作用でも、頻繁に繰り返し対話をしたからといって良い関係を築けるとは限らないということです。

関係を深める「動機の転換」

 それでは、何が良く、何が悪いのでしょうか?

 その判断基準の一つに、「動機」が挙げられます。動機が悪いといくら対話したり交流したりしても、けんかになったり、険悪な関係になるなど、良い関係を築くことはできません。

 悪い動機とは「利己的な動機」であり、良い動機とは「利他的な動機」です。

 具体的には、「不信の心ではなく信じる心」を持つことで、信頼関係を築くことができます。

 また、「怒りの心ではなく感謝の心」でこそ、感謝し合う関係になります。「裁き・要求の心ではなく許し・寛容な心」でこそ、安心した穏やかな関係になります。「責任を追及する心ではなく自己責任を果たそうとする心」でこそ、前向きで建設的な関係になります。

 周りの人や出来事に振り回されて一喜一憂するのではなく、自分自身の動機に敏感になり、「利己的な欲心」ではなく、「利他的な愛」を動機で良い関係を築くよう、心掛けましょう。