シリーズ・「宗教」を読み解く 64
宗教対話雑感①
宗教間対話の三原則

ナビゲーター:石丸 志信

 宗教者平和大使との関わりの中から学ぶことが多い。宗派を超えて対話を進めていく上でのヒントとなる。

 一人の僧侶は、徹底して傾聴姿勢に徹する。師によれば、寄り添いその人の語ることに逆らわず聴くことこそ宗教者の第一の姿勢だという。

 一人の神主は、批判ではなく理解を深めるために徹底して議論する。素直な心で真理を探究する姿勢を示す。共通するのは、謙虚さであり、神仏に生かされているという安心感であろうか。

 ある書物(※)に宗教間対話の三原則が記載されていた。

① 他の宗教を理解しようとするとき、その宗教の信奉者に尋ねるべきで、敵対者に尋ねるべきではない。

② 自分の宗教の一番良い部分と相手の一番悪い部分を比較してはならない。

③「聖なる羨望(せんぼう)」を持つこと。他宗の伝統の中で尊敬でき、自分の宗教にも取り入れることができたらと思えるような余裕を持つこと。

 示唆に富み、自らを振り返る指標となる。

※ヨッシー・クライン・ハレヴィ著 神藤誉武訳 『わが親愛なるパレスチナ隣人へ』の「訳者あとがき」に記されたクリスター・スタンダール教授の宗教間対話に関する重要な三原則。