夫婦愛を育む 56
「セミナーでやれって言われてやってるんだろ」と言われたら

ナビゲーター:橘 幸世

 自己改革系のセミナーでは、「~してみましょう」と実践課題などが提示されることが珍しくありません。もちろん、私の講座でも。

 今回は、そんな実践を頑張るかたがたの相手(実践対象)の反応について少し書いてみたいと思います。

 冷え切った夫婦仲の修復を目指す妻の場合は、夫の無反応(外見だけです)にめげずに継続することが肝要ですが、普通に夫婦間のコミュニケーションができている中で実践すると、その反応は本当にさまざまです。

 ある婦人は、講座で習った「夫に感謝する」「夫を尊敬し称賛する」を頑張って実践しますが、その言葉はまるで「本の棒読み」(ご主人談)。それでもご主人は「うれしい」そうです。
 内容を落とし込もうと半年後に妻が再受講を考えた時は、笑顔で背中を後押ししました。

 たとえ「棒読み」でも、褒められたらうれしいし、何より夫婦関係をより良くしようと妻が努力すること自体がうれしいのでしょうね。

 また、ある婦人が帰宅した夫を玄関で両手を広げて迎えたら、俺さまキャラのご主人は「おまえな、セミナーでそうやれって言われたんだろ。そのままやってどうする? もっと工夫しろ」と言ったそうです。
 でも、そんなキャラの夫に連れ添ってきた奥さまは、めげることなく「ようし、次はびっくりさせてやる」といっそう奮起したとのこと。やっぱり夫婦ってバランスが取れているんですね。

 70歳の婦人は、女らしさの大切さを学んで、お化粧をしました。口の悪い夫は「なんだおまえ、気持ち悪い」。でも奥さまは全くめげず、「だって、あんたのためにやってるんだよ」と見事な切り返し。大拍手です。
 
 一方、男性が女性に対して実践する場合もありますね。
 ある男性が出勤時のハグを実践したら、妻から「どうせセミナーの課題なんでしょ」の冷めた一言が返ってきました。

 とっさのこと、夫が照れ隠しや意地で「うん、そうだよ」と答えたら、どうでしょう? 女性の願いは「愛されること」なので、義務でやられてもうれしくないんですね。
 「セミナーで聞いて、いいな、やりたいなと思ったからやってるんだ」とか「実際やったら気分いいし」「表現下手の俺にはありがたいアドバイスだった」などと言えば、妻もまんざらでもないでしょう。
 
 いずれの場合も、相手の反応にめげずに継続することが、こちらの真心を伝える最善の方法かと思います。
 そして“相手”の側に立ったときには、努力するその姿を寛容な心で受け止めましょう。