青少年事情と教育を考える 52
同性婚と憲法24条

ナビゲーター:中田 孝誠

 国が同性婚を認めないのは憲法が定める婚姻の自由を侵害し、法の下の平等にも反するとして、今月(2019年2月)14日、13組の同性カップルが国に損害賠償を求めて、東京、大阪などで一斉に提訴しました。

 同性婚についてはいくつかの問題がありますが、今回は憲法24条との関係について考えてみます。

 憲法24条には結婚について次のように定めています。
 「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。2.配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」

 この条文について、「両性の合意のみ」「夫婦」とあることからも、「結婚は男女間で行われる」ことを前提としており、憲法では同性婚は認められていないというのが現在の学界の主流だといわれています。

 これに対して、「両性」はあくまで当人2人のことを言っているのであって、同性婚を排除したものではない、あるいは同性婚の法制化を禁止しているものではないという主張があります。
 同性婚に賛成する人々からは、個人の自由、個人の尊重といった声が聞かれます。

 一方、民法の立場からは「民法は、生物学的な婚姻障害をいくつか設けている。そこには前提として、婚姻とは『子どもを産み・育てる』ためのものだという観念があると思われる」「民法は、婚姻の当事者は性別を異にすることを前提としている。…憲法24条の『両性の合意』という表現、あるいは民法731条の『男は…、女は…』という表現や民法750条以下の『夫婦』という文言に、このことは示されているともいえる」(大村敦志『家族法』第3版)という指摘があります。

 つまり、婚姻制度は子供を産み、子供の健全な発育を計るために保護・優遇されていて、子供のために婚姻関係が簡単に壊れないような仕組みをつくっているというのです。

 だからこそ、婚姻制度は個人の選択の自由であるとともに、次世代の子供のために社会的に特別の保護が与えられているわけです。

 同性婚を認めるということは、婚姻制度の概念を変え、社会の在り方そのものを変革する重大な問題なのです。