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愛と人生の道しるべ 28
本当の胎教とは

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第1弾、『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』を毎週日曜日配信(予定)でお届けしています。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

第8章 子育てによって自分も育つ

本当の胎教とは

 近年、胎教が見直されるようになり、婦人雑誌には胎教についての様々な記事が紹介されています。

 怒ると血液が酸性になって胎教に良くない。胎児は母胎の外界の音を聞くことができるから、ショックを与えるような音は避け、きれいな音楽をいつも聴くようにしたらよい。食事はカルシウムの多いものを食べる。こんな具合に、懇切丁寧に書かれています。

 確かにそのとおりなのですが、その前にもっと大切なことが忘れられてはいないでしょうか。

 あなたは、両親の期待の中で望まれて生まれてきたのと、妊娠してしまったから仕方なく生んだというのとでは、どちらが良いですか。もちろん誰もが両親に望まれて生まれるほうが良いに決まっています。

 では、妊娠の原因とも言える性行為の時に、新しい生命のことを意識している人が一体どれほどいるでしょうか。

 もちろん性は子供をつくることだけが目的ではありません。喜びがあり夫婦の愛情を深めてくれます。

 妊娠の可能性がある日については、夫婦ともはっきり分かるはずです。ポルノ映画に刺激されたり、酒の勢いで肉体関係を持ち、その結果妊娠してしまったというのでは、新しい生命にあまりにも不遜ではないでしょうか。

 このことは親となった時、自分の子供に対して胸を張って親らしくふるまうことのできるポイントの一つです。

 どんな動機で性関係を持つかは、精神面だけでなく、具体的にどんな子供ができるかという結果となって現れるように思われます。

 私は遺伝学者でもありませんし、たくさんのデータを持っているわけでもありません。しかし、夫婦そろって立派な子供を生もうと意識して性関係を結び、その結果妊娠するのと、性欲に押されて性関係を持った結果、妊娠してしまったというのとでは違うと思うのです。

 私は学生時代に愛と性の問題でずいぶん悩んでいましたが、やがて人生の師と仰ぐ先生と出会いました。その先生は講義の中で、「ある夫婦に子供が生まれる時、その夫婦からはいつ生まれたら最も良いという時がある。そして、夫婦はその運命の糸に引き寄せられて愛情が高まり、自然に一つになって妊娠するのである」と語られました。その言葉を聞いて、そうだ、そうに違いないと確信し、ようやく愛と性の問題に対する解答の方向性を知ることができました。

 ところで、犬や猫などは、血統が非常に重要なものとされていますが、人間についてもやはり大事ではないかと感じます。

 血統というと、自分の努力ではどうにもならないように思えます。確かに、先祖譲りの顔かたちや才能はどうにもならないでしょうが、心の持ち方や人への思いやりなどは、夫婦の愛情の世界、精神世界が、そのまま伝えられていくような気がしてならないのです。

 親の愛情を十分に受けている子供は、いきいきしていて顔が美しく、才能も自由に伸びていきます。人間の心の核心は愛情であり、愛情溢(あふ)れた人生こそ幸福な人生そのものです。

 他人を恨むことなく、すべてに感謝し、人の幸せを祈る心を持ち続けるなら、その愛のエネルギーは確実に子供の心に伝えられ、親よりも優れた心の持ち主となるでしょう。これこそ真の人間革命です。

 胎教は母親だけの課題ではなく、夫にも重大な責任があります。さらに言えば、子供への教育は、妊娠する前から既に始まっていると言うことができるのです。(続く)

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 次回は、「子供によって親が変えられる」をお届けします。


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