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幼児教育Q&A ~すぐに役立つ12のポイント(1)

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第5弾、『幼児教育Q&A~すぐに役立つ12のポイント』を毎週火曜日配信(予定)でお届けしています。

林敏子・著 林三男・監修

(光言社・刊『幼児教育Q&A~すぐに役立つ12のポイント』より)

1.幼児教育でいちばんたいせつなこと

【Q】
 5歳の男児と3歳の女児の母親です。毎日、子供の世話と家事に追われる日々を過ごしています。幼児教育において、最も大切なことは何でしょうか? 教えてください。

【A】
 一言で申し上げれば、「愛する」ことです。
 幼児は、「お父さんから愛されたい」「お母さんから愛されたい」「おじいちゃん、おばあちゃんから愛されたい」「先生に愛されたい」という願望で、心がいっぱいです。
 幼児にとって、ダイヤモンドをもらうよりも、海外旅行に行くことよりも、「父母から愛を受ける」ことが、一番の願いであり、喜びなのです。

 子供にとってどれほど父母の愛が重要であるかを考えるとき、いつも思い出す一人の女の子がいます。ある年のことですが、3歳の女の子が年少組に入園してきました。その子は、教室の中をぐるぐる回っていたかと思えば、今度はある友達の横に立ち、けんかを始めます。その子の顔を引っかき、泣かせたあとは、教室を出ていってしまったり、何かと「問題を引き起こしたがる子」でした。
 私は毎日のように、園長室の真(まこと)の父母様のお写真の前で、その子を抱き締めてお祈りしました。今では立派な子供さんに成長しています。
 「○○ちゃんは、きょう、お友達とけんかをしました。本当はけんかをしたくはなかったんだけど、けんかになっちゃって、先生にしかられてしまいました。だけど、○○ちゃんの本当の気持ちは、お友達と仲良くなりたかったのですが、そのやり方がちょっと分からなかったのです」と、具体的に祈ってあげました。
 そして、「神様、教えてください。私はほかの方法を探して、また頑張ってみます」と祈り、現実の子供の状態をよく観察しながら、神様の導きを願う方向で祈りました。
 しかし、次の日になると、その女の子はまた同じ行為を繰り返します。祈り方を少し工夫しました。「きょうもお友達とけんかしました。きのうよりもちょっと少なくて、きのうは10回たたいたけど、きょうは5回でした。少し我慢ができるようになりました」。
 女の子は、毎日抱いて祈ることを通じて、友達とけんかをすることが少なくなっていきました。
 子供たちは、褒めてもらいたい、認めてもらいたいという願望でいっぱいで生きているわけです。私がいちばん注目をされたい、いちばん愛してもらいたいというように、自分がいちばん愛されたいのです。子供さんの多い家庭では、家族自身もなかなか注目してくれません。注目してもらいたいという動機から、ときにはお手伝いすると言って、結果的にほかの子の迷惑になってしまうこともあります。
 大人から愛されることにより、子供は変わっていきます。その女の子は、次第に落ち着きを取り戻し、保育士の話を聞けるようになってきました。欲しかった愛がもらえて、満足したのでしょう。
 家庭においても同様に、困った状態を親に提供する子供を「困った子」とはせずに、その子と一緒になって考え、祈ることにより、親子が共に成長していくことができるのだと思います。
 幼児の心をよく理解して、上手に愛情表現をしてあげられる、お父さん、お母さんになってほしいと思います。上手な愛情表現とは、心が込められた親の言葉掛けと、その行動です。善(よ)い言葉を使って、子供さんに接してほしいですね。そして、だんだんと親が導いていきたい状態まで、日にちを掛けて教えてあげるのも、愛情の一つだと思います。

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 父母は、まず、この幼児の心理を理解することが大切です。この幼児の一番の願望を満たしてあげたあとに、初めて幼児に対する教育を始めることができるのです。幼児は、愛を受けることなしには、何もしたがりません。幼児は、愛で心が満たされて初めて、喜びが生まれ、「何かしよう」という意欲が生まれるのです。
 四大心情圏の観点から考えてみると、幼児期にふんだんに愛を受け、「子女の愛」が満たされて初めて、ほかの人を愛そうという思いになり、そこから「兄弟の愛」が芽生えてくるのです。そして、「夫婦の愛」「父母の愛」と、成長していくのです。
 ですから、四大心情圏の土台である「子女の愛」が成長していなければ、その後の三つの愛の成長に、マイナスの影響を与えてしまうのです。
 この点から考えてみても、「幼児は愛をたっぷり受けなければならない」ということが分かると思います。
 「幼児を愛する」ということでお勧めしたいことは、幼児と一緒に遊んであげてほしいということです。
 み旨や仕事に忙しく、経済的にも厳しい祝福家庭の父母は、子供とあまり遊んでいないのではないでしょうか。
 いくら忙しくても、24時間、走っているわけではありません。夫婦で話し合い、夫婦で「1日、少しの時間でも子供と遊ぶ」という意識をもって、子供と遊んであげたらいいと思います。親子が遊ぶ時間、喜びを共有する時間は、神様が喜ばれる、神聖な時間だと思います。
 こうして、親からどんどん愛を受ける幼児は、生き生きしてきて、何に対しても意欲的に取り組みます。これは、光の子園の園児たちを見ていて、感じることです。親からたっぷり愛されている園児は、生き生きしています。
 そして、気をつけていただきたいことは、愛の欲求不満状態の幼児に、「敬礼をしなさい」「幼児礼拝で静かにしていなさい」「勉強しなさい」と、強要しないでほしいのです。まず、愛してあげてください。

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 幼児期の子供は、愛を受けたいと、常に親を見つめています。それゆえ、親が愛を与える努力をしさえすれば、子供はその愛をすべて吸収します。ところが、小学校高学年になると子供は、親ばかりを見ていません。ですから、親子の心の絆(きずな)を築くうえでも、幼児期というのはとても大切な時期なのです。
 靴を履かせるときも、途中まで履かせてあげながら、最後に「ここだけは自分でやってみよう」などと、本人にもやらせてみて勝利感をもたせてあげたり、成長の段階を踏まえて対応してください。食事を箸(はし)で食べられない子供に対しても、しかるのではなく、「こうやってやるんだよね」と、一緒になって自分も箸を持って教え、それができたら大いに褒めてあげます。きのうよりもよくやっていたなら、「よくやったねえ」と、たくさんの褒め言葉を掛けてあげることが、重要なポイントになります。
 しかし中には、自分で全部やらないと気が済まない子供もいます。「自分でボタンを掛けられるのに、どうして掛けさせてくれないのか」と、プライドを傷つけられた心境になります。そのような場合には、「ボタンを掛けるのを手伝おうか」とか、「最後の二つ、やってみる?」などと、子供の人格を認めながら、フォローしてください。
 毎年4月には新年度を迎え、光の子園にも新しい園児(星組)が入園し、今現在も、私自身、幼児教育に悪戦苦闘する毎日です。星組はまだ3、4歳ですから、「お母さんに会いたいよ」「お姉ちゃんの所に行きたいよ」と泣き叫ぶ子もたくさんいます。
 まず、父母から愛を受けること、これが幼児教育において、最も重要なポイントです。拙著『よろこび育つ光の子』(光言社)でも、このことを繰り返し訴えました。本のタイトルのごとく、「喜びながら育つ」のが、本来の子供の姿です。愛を受け、喜んで物事に取り組めば、集中力が身につき、知性も磨かれていきます。
 幼児教育は、子供の心を愛で満たしてあげるところから出発です。

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 次回は、「子供と一緒に祈る」をお届けします。