2024.11.04 12:00
私の心の中にいる神様 34
良心との対話で、ワクワク感が止まらない!
毎週月曜日に配信予定です。
初出は2020年に配信されたものです。
蝉時雨の中で
車で移動することの多い仕事をしています。
ある夏の日、少し空き時間ができたので、車を日陰に止めて休憩することにしました。そばに木立があり、たちまち賑やかな蝉時雨(せみしぐれ)に包まれました。
私は目をつぶってセミの声を聞きながら、心を空にして一体感を味わってみようと思いました。
いつの間にかセミに語りかけていました。
「暑いのに、そんなに鳴いていて疲れないの?」
するとセミからこう返ってきました。
「暑いことはとてもいいことなんだよ! こうして鳴ける日をずっと待ってきたんだから、うれしくて鳴いているんだよ。このうれしさ、分かる?」
「そうだったんだ! うれしくて鳴いていたんだね」
「そうだよ、そうなんだよ。だから暑くても、それがいいんだよ。私たちは今この時を精いっぱい生きてるんだ。あなたはどうなの? 精いっぱい生きているの?」
思いがけない問いに、私は思わず、「私もあなたたちのように生きられるかな?」と聞いていました。
するとセミは力強い声で、「生きられるさ、絶対に! あなたは私たちにとって神様のような存在だからね!」と言うのです。
私は驚いて、つい日頃の悩みをつぶやきました。
「神様のような存在と言われても、ちょっと嫌なことがあると落ち込んだり、すぐに人や自分を責めたりしてしまうから、自分のことそんなに素晴らしいって思えなくなってしまうんだけど…」
「大丈夫だよ。あなたが自分のことをどう思っていたとしても、あなたは素晴らしい人だよ。落ち込んだり人を責めたりすることがあっても、あなたは素晴らしいってこと」
「どうすれば、自分を素晴らしいと思えるかなあ」
「良くても悪くても、できてもできなくても、あなたは生きているでしょう。私たちと同じように生きているじゃないか」
そうセミに言われて、自分が生きていることを自覚していなかったことに気付きました。生きていることをあまりにも当然のように思っていたのです。心が軽くなり、癒やされていくのを感じました。
「セミさん、ありがとう」と声をかけると、「もう行っちゃうの?」と、名残を惜しんでくれました。
セミとの対話を通して、神様の貴い愛に包まれた瞬間でした。
---
次回は、「電車で席を譲ったら」をお届けします。