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スマホで立ち読み Vol.13
『幸福な人生には原則があった』4

入山 聖基・著

(光言社・『幸福な人生には原則があった』より)

 スマホで立ち読み第13弾、『幸福な人生には原則があった』毎週土曜日(予定)にお届けします

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第1講座 神の実在

神が信じられない理由(後)

 第三に、神の沈黙に対する疑念です。

 これは、「神は、人(私)が苦しんでいるとき、助けを求めたのに助けてくれなかった。だから神なんか信じない」という人生経験から来る不信感です。自分の求めに沈黙する神に対して絶望したことが原因になっています。

 皆さんの周りで、断定的に神の存在を否定する人がいるとしたら、もしかしたらこうした過去の経験が原因になっているかもしれません。その人も、もともとは神を信じていた人だったかもしれないのです。

 ここで例に挙げてみたいのは、皮肉なことですが、進化論の生みの親といわれるチャールズ・ダーウィン(1809~1882)です。あまり知られていないことですが、ダーウィンには10人の子供がいて、子煩悩な良い父親でした。ところが、その子供の中でも特に可愛がっていた長女のアニーが、10歳のときに熱病にかかってしまうのです。

 その頃のダーウィンは教会にも通っているクリスチャンで、神を信じていました。ですから、娘のために熱心に祈り、あらゆる治療を施しました。しかし、努力の甲斐(かい)なく、1年もの闘病生活の末に亡くなってしまったのです。ダーウィンはひどく落胆しました。

 ダーウィンの玄孫(やしゃご)であるランドル・ケインズ氏が書いた『ダーウィンと家族の絆』(白日社)という本があります。サブタイトルには、「長女アニーとその早すぎる死が進化論を生んだ」と付けられています。原題は『ANNIE'S BOX』です。それは、アニーが大切にしていた、「お道具箱」のことです。それをダーウィンは生涯大切に持っていたというのです。どれほどアニーを愛していたか、そしてその死がどれほど耐えられないものであったかが伝わってきます。

 この本には次のようなことが書かれていました。

 ダーウィンは自然の中に神を発見する自然神学者であり、神を信じる信仰者だった。しかし、(愛娘の死に)絶望したダーウィンは信仰に疑問を持つ。「神はなぜこのような悲しみを与えるのか? これが神の思(おぼ)し召しとは思えない。そんな無慈悲な神など信じたくない」。ダーウィンはその日から教会に行かなくなった。そして猛然と研究に没頭する。そのテーマは、「自然闘争」──この世は無慈悲な世界であることを証明しようとした。ガラパゴス諸島でヒントを得たダーウィンは、8年後に『種の起源』を世に発表する。ダーウィン臨終の言葉は、「神様!」だった。

 あまりにも簡単なあらすじですが、ダーウィンが通過した悲しみ、苦しみが伝わってきませんか? 彼もまた、「神の沈黙」から来る絶望により、神を見失ったのです。

 このように、その人の思想の背景には、その人の人生経験があるのです。

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 次回は、「神を知る方法①」をお届けします。お楽しみに!



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