2024.07.20 17:00
ダンベリー精神 1
苦難の中でも「私のために泣かずに、アメリカのために祈りなさい」と語られた真のお父様。真のお父様はどのような心情で歩まれたのでしょうか?
このシリーズでは、真のお父様のダンベリー連邦刑務所(米国コネチカット州)収監(1984年7月20日)から40年を迎えるに当たり、「ダンベリー精神」とは何だったのかを振り返ります。(一部、編集部が加筆・修正)
迫害する者のために祈られた真のお父様
真のお母様の自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』に、このような一文があります。
「統一運動の最も根本的な教えは、『ために生きる』です。死の境地において自らを犠牲にし、たとえ不本意に濡れ衣を着せられたとしても、相手を許し、愛することができるというのが『ダンベリー精神』です。ダンベリー精神とは、すべてを奪われて失ってしまった立場でも、天のみ旨に従って犠牲となり、許しながら、より大きな価値のために生きることです」(171ページ)
1984年7月20日、真のお父様は米国コネチカット州のダンベリー連邦刑務所に収監されました。真のお母様はその日を「私の人生の中から永遠に消してしまいたい一日」(170ページ)と表現されています。
「アメリカに対する神様の希望」をテーマに1972年から始まった真の父母様による全米巡回講演は、約30万人が天来のみ言に酔いしれたワシントン大会(1976年9月18日)でクライマックスを迎えました。
「東洋から来た偉大な宗教指導者」として真の父母様は歓迎され、統一原理は燎原(りょうげん)の火のごとくに全米に広がっていったのです。
ところが、そのことに危機感を覚えた共産主義者などの反対勢力によって、統一教会(現・家庭連合)に対する迫害が始まりました。やがて真のお父様は脱税の容疑をかけられ、1981年10月以降、ニューヨーク連邦地方裁判所に何度も出頭することになりました。
そのたびに声明文を出して、「今回の件は、人種差別と宗教的偏見の結果である」「私はアメリカと世界人類のために犠牲と奉仕の人生を歩んできた。そこにおいて少しも恥じることはない」(168ページ)と訴えましたが、聞き入れられず、1982年5月18日、ついに有罪の判決が下されたのです。
罪状は、「献金160万ドルの利子11万2000ドルにかかる所得税、および5万ドルに相当する株式配当金にかかる税金として、1973年から3年間で7300ドルを払わなかったというもの」(169ページ)で、言い渡された判決は、「懲役18カ月と、罰金2万5000ドルを宣告する」(同)というものでした。
統一教会はすぐさま上告しましたが、1984年5月、最高裁は上告を棄却し、刑がそのまま確定しました。
収監に当たり真のお父様は、食口(シック/家庭連合の教会員)たちに向かってこのように語っておられます。
「私のために泣かずに、アメリカのために祈りなさい」(171ページ)
あれから、間もなく40年がたとうとしています。
迫害する者のために祈る「ダンベリー精神」には、今、迫害のさなかにある神日本家庭連合が、この窮地を乗り越え、飛躍するための天の知恵が隠されているのではないでしょうか。
そこで次回から、真の父母様のみ言や関係者の証言を通して、真の父母様が示してくださった「ダンベリー精神」を振り返っていきます。