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孝情を育む 30

 『ムーンワールド』で連載された、蝶野知徳・家庭教育部長による子育てに関するエッセーを毎週金曜日配信(予定)でお届けします。
 孝情を育む子女教育について、どんな姿勢で向き合えばいいのかを分かりやすく解説しています。

家庭教育部長 蝶野知徳

子女の命の源

父と母の関係性を見ている子女
 子女は両親を個別に見て感じているものもありますが、二人の関係性をよく感じ取っています。例えば、仕事や家事など、生活的な役割をそれぞれがちゃんと果たせていることも大事なことですが、子女はその中に、二人が「助け合っている姿」を見つけて力を得ているようです。

 それは、お互いが助け合っているという夫婦の愛、その夫婦の愛は自分を育ててくれるためのものなんだという父母の愛、この二つの愛を見ることができるからです。

 両親の関係を見るということは、自分の生まれた命の源に関心があるということです。自分は一つになった土台の上で生まれてきたのか、それとも分裂の中で生まれてきたのかと。
 つまり自分のアイデンティティーを、両親の姿を通して潜在的に感じ取っているわけです。

愛を受け取ることのできる土台
 自分の命の出発を「一つになっている両親から生まれた」と感じるならば、その子は自分自身の「命」に対して、すでに「安心感」を得ているのです。この「安心感」こそが、その子供の愛を感じるセンサーとなっていくので、愛を愛として受け取ることのできる「器」になっていきます。

 この安心感とは、自尊感情や自己肯定感を高めることにも通じ、それらの心を育むためにも、まず夫婦が一つになることです。そうなることで愛を受け取ることのできる土台をつくってあげられるでしょう。

 ただ、誰が教えなくとも、子女は生まれながらに、両親の愛を信じて生まれてきています。ですから、たとえ、両親がぶつかっている姿を目の前で見ることがあったとしても、本当はそれを否定したい心があるのです。自分は一つになった両親の愛から生まれた存在なのだと信じられる材料を、生活圏で探そうとします。

 ですから、今、「愛」を感じたとしたら、過去の「愛ではないもの」は忘れようとするのです。

子女を生かすことのできる父母の愛
 父母の愛とは、子女にとっては、父親からの愛と母親からの愛を、単に合わせたものではありません。夫婦がバラバラで、それぞれに愛がやってきたとしても、子女の本性は自分の命の源をそこに見いだそうとは思いません。

 夫婦が愛で一つになって子女の命を誕生させた源がそこにあるように、子女が成長してからもお互いに助け合い、支え合い、愛し合って一つになっている父母の姿を見せ続けてこそ、子女を初めて生かすことができるのです。その原点に返りましょう。

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 次回は、「英才教育の是非」をお届けします。


◆「孝情を育む」が書籍になりました! タイトルは『子女と向き合うことは神様と向き合うこと』
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