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真の父母様の孝情を学ぶ 32
忍耐なくして勝利することはできません③

 『ムーンワールド』で連載中のコーナー、「真の父母様の孝情を学ぶ」を隔週日曜日(予定)でお届けします。
 韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(真のお母様)の自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』からの抜粋をイラストとともにつづるコーナーです。

 今回は、「忍耐なくして勝利することはできません」(129130ページ)からの抜粋です。

 私たち夫婦は、愛と献身をもって子供たちを育てましたが、教会ですべきこと、み旨の道があまりにも忙しく、一緒にいられない日のほうが多くありました。

 文(ムン)総裁が世界巡回に発(た)ったある日、三歳にもならない長男の孝進(ヒョウヂン)が、部屋の床に座り、絵を描き始めました。いつもは車や自転車の絵をよく描くのですが、その日は白い紙の上にたどたどしく、人の顔を描いたのです。それが父親の顔であることは分かりましたが、あえて尋ねてみることにしました。

 「孝進、この人は誰?」

 孝進は何も答えず、違う紙にまた顔を描きました。最初とは違う表情でしたが、今度も間違いなく、父親の顔でした。普段は活発な孝進が、その日はおとなしく座って、絵を描いてばかりいました。一日中、父親の顔を描いていても、飽きることがなかったのです。次の日も、その次の日も、孝進は絵を描くのをやめませんでした。

 ずいぶん日が経って、父親が帰ってきてようやく、孝進は絵を描く手を止めました。世界をすべて手中に収めたかのように、父に向かって明るい笑みを浮かべ、腕に抱かれたその後ろ姿を、今も切なさと共に、鮮やかに覚えています。

 もし、私がうれしいことばかりを経験していたなら、他の人の深い内面世界に気づくことはできなかったでしょう。また、天国の喜びも分からなかったでしょう。私は地獄のどん底まで経験し、ありとあらゆる苦労を味わいました。神様はひたすら、私を鍛錬してくださいました。私に必要なものは、疲れを知らない信仰と、堅固な意志、そして忍耐でした。それらが今日の私をつくり上げたのです。

 誰であれ、天国への道のりで、甘く楽しいことばかりを手にすることはできません。信仰的な苦難こそ、神様の恩恵を感じられる最も貴い祝福です。その試練に打ち勝ってこそ、真なる人間として新たに生まれ変わることができます。忍耐という苦い種が一つ一つ実を結び、いつの日か、光り輝く誇りとなるのです。

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 「真の父母様の孝情を学ぶ」は今回が最終回です。ご愛読ありがとうございました。


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