2024.05.07 22:00
脱会説得の宗教的背景 38
神と人類の宿願である理想世界の実現に向かって
教理研究院院長
太田 朝久
YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。
人類は共産主義の残虐性を糾弾すべきである!
「統一原理」を哲学的にまとめた「統一思想」は、次のように述べています。
「統一思想は…神主義または頭翼思想とも呼ばれている。神主義とは、神の真理と愛を核心とする思想という意味であり、頭翼思想とは、右翼でもなく左翼でもなく、より高い次元において両者を包容する思想という意味である。神の愛を中心とした新しい価値観による愛の精神をもって、左の思想である共産主義からは、憎悪心、闘争心や物質主義を取り除き、右の思想である民主主義からは、利己主義、自己中心主義を取り除いて、対立する両者を和解せしめ、共同して、神と人類の宿願である理想世界の実現に向かって進むように導いてゆくための思想が、神主義であり、頭翼思想であり、統一思想である」(『新版・統一思想要綱』2ページ)
ブルジョアジー(資本者階級)を、プロレタリアート(労働者階級)を“搾取する”存在だと見なすときの憎悪心は、すさまじいものがあります。
共産主義は反動分子に対して、「粛清」という名の下に容赦なく多くの人々を処刑してきました。
その犠牲者の数は、約1億人といわれます(ステファヌ・クルトワ、ニコラ・ヴェルト著『共産主義黒書〈ソ連篇〉』12ページ)。
このような、虐殺に次ぐ虐殺を行ってきた、目的のためなら手段を選ばない共産主義では、理想世界の実現は永遠に不可能です。
親なる神の目から見ると、万民は全てが兄弟姉妹であり、一つの家族です。お互いが尊び、愛し合うべき存在なのです。
また自然界でさえも、聖フランチェスコがうたったように「ブラザー・サン、シスター・ムーン」であり、全てが唯一なる神から出てきた“ループ”を描く広大な一つの「有機体」なのです。
宇宙の中心存在である人間は、自然界をも慈しみ、愛さなければなりません。
共産主義革命のため大量殺りくを繰り返してきた「唯物論」を基盤とする共産主義は、神の実在を否定し、宗教に敵対する“戦闘的無神論”であり、私たちはその残虐性を暴き、それを糾弾していかなければなりません。
2000年前、世界平和を実現する上で、重要な役割を担ったのはローマ帝国でした。
まずユダヤ教がイエス様を受け入れ、その教えが精神文明圏に伝えられたなら、心のような世界の精神文明圏と、体のような世界の物質文明圏とが心身統一をなし、人類一家族世界が実現したことでしょう。
しかし当時、大きな基盤を誇ったユダヤ教が、イエス様を排斥し十字架に追いやった時、ユダヤの国は物質文明圏のローマ帝国に滅ぼされ、彼らは流浪の民となりました。
世界平和を実現する上で、重要な役割を担っているのが現代のローマと呼ばれる米国です。
まずキリスト教が、文鮮明(ムン・ソンミョン)師を受け入れ、真の父母と一つになり、その教えが自由圏に伝えられたなら、心のような世界の自由圏と、体のような世界の共産圏が心身統一をなし、人類一家族世界が実現されることでしょう。
しかし、もしキリスト教が真の父母と一つになれないなら、2000年前のユダヤ教と同様に、唯物論を克服できず、共産主義によって、人類は「ローマ帝国迫害時代」のように受難の道を歩み続ける運命に置かれるかもしれません。
今、中国や北朝鮮が不穏な動きを強める中、世界平和を実現するため、とりわけキリスト教は唯物論を克服し得る統一原理を受容し、神の摂理に目覚めなければならないといえるでしょう。
※動画版「脱会説得の宗教的背景 第8回『唯物論』と『唯心論』の和合統一〈その3〉」はこちらから