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脱会説得の宗教的背景 37
統一原理の教えは、自然環境保護を推奨する教え

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

「汎神論」「アニミズム」を嫌うキリスト教の“限界性”

 「『超越神』と『汎神論』との和合統一」でお話ししたように、キリスト教は「汎神論」を極端に嫌ってきました。
 神と被造世界は“分離”した存在であり、かつ人間も、神と“親子関係”だとは言っても、Nothingの「無」から創られた存在であり、神と人間が“親子である”という因果関係があまり明確ではありません。

 いわば、人間や自然は、神が超自然的な奇跡によって“創った存在”に過ぎません。
 この“無”から物質が生じるという教義は、宇宙はエネルギーによって造られたとする現代科学の立場には受け入れがたい主張であり、現代科学から見ると“非科学的”でもあります。
 このような「唯心論」では、「唯物論」を克服することはできません。

 また、被造物に対するこのような考え方が、自然環境破壊につながっているとの指摘もあります。

 自然環境破壊の問題に対して、アッシジの聖フランチェスコは、小鳥と会話をするなど、自然界との関わりやそれを慈しむ心を持ち、「太陽は兄弟、月は姉妹(ブラザー・サン、シスター・ムーン)」とうたっています。

 そのような聖フランチェスコに対し「汎神論」「アニミズム」だと批判する人もいますが、1979年、教皇ヨハネ・パウロ二世は「フランチェスコを環境保護に携わる人々の保護の聖人」であると宣言しました(川下勝著『アッシジのフランチェスコ』清水書院、118ページ)。

 このような聖フランチェスコの考え方は、森羅万象が神の「本形状」(前エネルギー)から始まって、一つの「有機体」として連体性を持ち、かつ人間の知情意の“感応体”となっているとする「統一原理」の世界観と通じる観点があります。

 統一原理は、万人救済を説き、“自然環境保護”の取り組みを推奨する教えなのです。
 従来のキリスト教は、「最後の審判」において、十字架贖罪(しょくざい)を信じない人々は滅ぼされ、宇宙も終末時には大音響を立てて焼け崩れ、消滅すると考えています。

 キリスト教はそのような“残虐”な教えを、もう一度考え直さなければならないといえるでしょう。

(続く)

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第8回『唯物論』と『唯心論』の和合統一〈その3〉」はこちらから