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幸福への「処方箋」8
第一章 幸福と創造原理
間接主管圏と責任分担

 アプリで読む光言社書籍シリーズ第4弾、『幸福への「処方箋」~統一原理のやさしい理解』を毎週日曜日配信(予定)でお届けしています。

野村 健二(統一思想研究院元院長)・著

(光言社・刊『幸福への「処方箋」~統一原理のやさしい理解』より)

間接主管圏と責任分担
 さらにもう一つ、幸福実現という問題に光を投じると思われるのが、統一原理の〝間接主管圏〟〝直接主管圏という概念です。

 「万物は原理自体の主管性、または自律性により、成長期間(間接主管圏)を経過」すれば、それだけで自動的に「完成」する。「けれども、人間は原理自体の主管性や自律性だけでなく、それ(人間)自身の責任分担を全うしながら、この期間を経過して完成するように創造された」(講論七九頁)。

 『聖書』の創世記二章十六、十七節を見ると、「主なる神はその人に命じて言われた、『あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう』」と書かれています。

 これが史実だとすれば、神は人間が自動的に「善悪を知る木の実」を食べないような仕組みに創造されたのではなく、それを食べるか食べないかの選択は人間の自由と責任に任せたということが分かります。

 この自由裁量の領域のことを統一原理は「責任分担」と呼んでいます。「このように、人間がそれ自身の責任分担を完遂して初めて完成されるように創造されたのは、人間が神も干渉できない責任分担を完遂することによって、神の創造性(に)までも似るようにし」、そのことで、「神の創造の偉業に荷担させることによって、ちょうど創造主である神が人間を主管なさるそのごとくに、人間も創造主の立場で万物を主管することができる主人の権限をもつようにするためであった」(講論七九、八〇頁)。

 したがって、この責任分担の決定は第一祝福(個性完成)と第三祝福(万物主管)と不可分の関係にあります。責任分担を神の願いのごとくに達成することによって、神の援助なしに自分の創意のみによって実現した部分があるということで、万物にはない神性を有する神の子と認められる。これが「個性完成」の祝福です。また、神性を持つということで万物とは全く異なっているので、万物の主人(創造主の立場)として万物の主管権を持つようになる。これが「万物主管」の祝福です。このように三大祝福のうち二つと密接なかかわりがあるということで、この「責任分担」ということが非常に重要な意味を持ってくるわけです。これは自分の幸福実現ということとも密接な関係があります。すなわち、責任分担を果たし、神性を持つようになるということで、神の子となることで幸福な人生を満喫することができるようになるのです。(続く)

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 次回は、第一部 第一章の「直接主管圏」をお届けします。