夫婦愛を育む 33
お姑(しゅうとめ)さんにも“娘のように”

ナビゲーター:橘 幸世

 私の講座のサブタイトル「母のように、娘のように」は、文鮮明先生の「妻は時には母のように、時には娘のように夫に対しましょう(逆もまた然り)」というメッセージからお借りしています。

 この2側面のうち、どちらかと言えば“娘のように”振る舞うことが苦手な女性が多く、本欄においても何度か取り上げてきました。これができるようになったら、夫婦関係がとても楽に、そして楽しくなります(同じ「楽」の漢字を書きますね)と訴えていますが、私の場合、義母との関係においてもとても役に立っています。

 10年ほど前から義母たちと二世帯同居していますが、同居が決まり家の改築を始めて間もなく、私は病気のため1年間の投薬治療を受けることになりました。
 入居した時は、治療の真っただ中。義母が何かするのを手伝おうとすると、「ああ、あんたはいいから。せんでいい」と、私を気遣って自分の所の家事以外何もさせてくれません。

 「何もしない嫁」からスタートしたので、(それが基準となり?)今なお手伝いはほとんど期待されていません。母が畑で野菜を作り、「大根食べるか」「茄子(ナス)はいるか」と持ってきてくれますが、私は「わぁ、うれしい! ちょうど買いに行こうと思っていたところです。ありがとうございます」と笑顔で手を合わせていただきます。町内会の役やお墓の手入れなどは数年前から任されていますが、野菜作りに関しては、食べるのを手伝うだけです。

 同じように結婚後数年してから義父母と同居した友人は、「(病気になって)かえって良かったじゃない。私はいい嫁でいなくちゃと頑張り過ぎて、鬱(うつ)になっちゃったから」と言いました。本当に、物は考えようです。

 先日洗濯物を干していたら、庭先に一見土筆(つくし)のようなものが見えました。生物全般に無知な私が「お母さん、土筆が顔を出していますね」と言うと、「土筆は春だよ。それは別の花だよ」と母が答えました。「あら、そうでしたね。恥ずかし~」と笑って終わった数日後、それらがきれいな花を咲かせていました。義母は、「“土筆”が花開いたよ」とニコニコして言うので、私は「お母さんのいじわる~!」と口を尖(とが)らせます。そんなやりとりをしている自分を、ラッキーだと心の中で思います。

 結婚後海外に行ったりもして、いろいろな意味で嫁としてはマイナス点からのスタートでしたが、時間と、いつの間にか身に付いた娘のような振る舞い方が、義母との距離を縮めてくれたと感じています。もちろん、良い義母に恵まれたればこそのことですが。