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脱会説得の宗教的背景 35
統一原理の世界観

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

神から始まり、神に至っていく“ループ”を描く世界観
 「統一原理」は、神は「精神の原因」と「物質の原因」を共に持っていると説く「唯一論」です。

 前回述べたように、神の本形状(前エネルギー)は、「無限応形性」という“無限なる形態”を取ることのできる可能性を持つ素材であり、神はその素材を用いて被造世界を創造しました。

 天地創造は、神の前エネルギーから始まり、“連続性”(波動性)と“非連続性”(粒子性)によって、まず、①素粒子→②原子→③分子→④鉱物界→⑤植物界→⑥動物界→⑦人間、そして⑧神へと至っていくという、いわば“ループ”を描くような世界観です。

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 『原理講論』は、次のように論じています。
 「神は人間を創造する前に、未来において創造される人間の性相と形状とを形象的に展開して、万物世界を創造された。それゆえに、人間は万物世界を総合した実体相となるのである。人間を小宇宙という理由は、すなわちここにある。神は下等動物から、次第に機能の複雑な高等動物を創造されて、最後に、最高級の機能をもった存在として人間を創造された」(67ページ)

 「今日の科学は、物質の最低単位を素粒子とみなしているが、素粒子はエネルギーからなっている。…エネルギーは素粒子の形成のために、素粒子は原子の構成のために、原子は分子の構成のために、分子は物質の形成のために、すべての物質は宇宙森羅万象の個体を構成するために、各々存在している…では、宇宙は何のためにあるのであり、その中心は何であるのだろうか。それは、まさしく人間である。ゆえに、神は人間を創造されたのち、被造世界を主管せよ(創世記128)と言われた。もしも、被造世界に人間が存在しないならば、その被造世界は、まるで、見物者のいない博物館のようなものとなってしまう。つまり、博物館のすべての陳列品は、それらを鑑賞し、愛し、喜んでくれる人間がいて初めて、歴史的な遺物として存在し得るところの因縁的な関係が、それらの間で結ばれ、各々その存在の価値を表すことができる…人間の生理的機能が、心の知情意に完全に共鳴するのは、物質もやはり、知情意に共鳴できる要素をもっているという事実を立証するものにほかならない。…森羅万象は、各々その程度の差こそあれ、すべてが知情意の感応体となっている…人間は、このように、被造世界の中心として創造されたために、神と人間が合性一体化した位置が、まさしく天宙の中心となる位置なのである」(5960ページ)

 「神を中心として完成された被造世界は、ちょうど、心を中心として完成した人間の一個体のように、神の創造目的のままに、動じ静ずる、一つの完全な有機体である」(47ページ)

 このように神から始まり、神に至っていく、被造物は全てが“連動”し合う一つの完全な「有機体」としてループを描いているという世界観が、統一原理の世界観です。

(続く)

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第8回『唯物論』と『唯心論』の和合統一〈その3〉」はこちらから