2024.04.05 22:00
【テキスト版】
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第182回 家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に対して宗教界からの反対の声はありますか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に対して宗教界からの反対の声はありますか?」という質問に対してお答えします。
「宗教の視点から社会を考えるノンフィクション・マガジン」を標榜する雑誌『宗教問題』Vol.44(2023年冬季号)で「宗教法人が亡びるとき」という特集が掲載されました。
大学教授や政治家、ジャーナリスト、宗教家などの意見が掲載されています。
その中からキリスト教会の牧師の見解を紹介します。
日本基督教団所属・豊岡教会(兵庫県)の牧師のコメントが次のように紹介されています。
「今回の解散命令請求を見て、牧師の小林聖(こばやしさとる、57)は信徒と話し合いの上、『思想信条の自由への抑圧の第一歩となりかねない』と記した抗議文を政府に送った」(58ページ)
「旧統一教会への解散命令請求が浮上した9月、小林は『宗教の世界からきちんと声をあげないと危ない』と、信徒にまた問いかけた。危機感を強めたのは、オウムへの解散命令の時と比べ、『まったく国民的な議論になっていない』という点だ」(59ページ)
「宗教の教えに『合理的立証』を求められても、立証できないんです。特にキリスト教の聖書は、実態のある物体を神とはしない思想。ないものを信じるのが宗教なのに、証明とか科学を持ち込み始めることは、実に不愉快です」(60ページ)
「クラウドチャーチ」という、オンラインで礼拝を行う新しいスタイルの教会を始めた若き宗教家・小林拓馬氏は、次のように語ります。
「政治の力で法解釈を変えて押し進むのは異常です。旧統一教会の問題は以前から知られていたのに、なぜ今、ここまで騒ぎ立てるのか」(60ページ)
「『法解釈』の変化とは、解散命令請求の事由として首相の岸田文雄が昨年10月の国会で『民法上の不法行為は入らない』と答弁したのに、翌日の答弁で『民法の不法行為も入りうる』と豹変した事態だ」(60ページ)
また、日本基督教団事務局の星山京子氏は、「教団の公的な見解として言うのは難しいのですが、私は(解散命令請求に)反対です」(56ページ)
「思想信条の自由という憲法の根幹にかかわることなのに、誰かが強引に主導しなくとも、ぼんやりと決定ができてしまい、大衆も乗せられているところが恐ろしい」(57ページ)と述べています。
信教の自由は、重要な基本的人権であり、民主主義社会の根幹をなす最も大切な自由です。
信教の自由とは、特定の信仰を持つ自由、宗教を布教したり、宗教教育を行ったり、宗教上の儀式・祭典の開催・参加の自由が含まれます。
また、宗教団体を設立し活動することや、設立した宗教団体への加入の自由が保障されます。
これらの信教の自由を、事実に基づいた公平で正確な検証がされないまま解散命令請求が出されたことは、政府の権力で一宗教法人を押さえつけ、信教の自由を侵害するものであり、全体主義的な恐ろしい姿です。家庭連合の次には別の宗教団体が標的にされるかもしれません。
このことに対して、宗教の宗派・教派が違ったとしても多くの宗教者が「信教の自由」「思想信条の自由」に対して声を上げて訴えることが必要です。