2024.04.02 12:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
韓国総選挙、与党「国民の力」厳しい戦い強いられる
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、3月25日から31日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
ナワリヌイ氏追悼式、節目40日で(3月26日)。韓国総選挙戦が始まる(28日)。国連安保理、北朝鮮制裁の専門家パネル任期延長否決~ロシアが拒否権、監視困難に(28日)。北朝鮮外相「日本の接触の試み、許容しない」、拉致問題巡り批判(29日)。駐露米大使が「露はテロ情報軽視」と発言(29日)、などです。
4年に一度の韓国総選挙が3月28日、公式運動期間に入りました。
投開票日は4月10日です。なお、在外投票は3月27日に始まり、投票期間は4月1日までの6日間でした。
韓国総選挙の投票率はいつも比較的高い数字となります。前回2020年は66.2%でした。
現有議席を見ておきます。
定数は300議席で、与党「国民の力」は114議席、「共に民主党」は156議席、その他18議席、無所属が9議席、欠員3議席となっています。
選挙戦を戦っている政党は、与党「国民の力」、野党「共に民主党」、新党として「祖国革新党」(曺国〈チョ・グク〉元法相が代表。比例議席に特化し、「共に民主党」との連携を打ち出している)、他に「改革新党」(李俊錫〈イ・ジュンソク〉元「国民の力」代表)、「新しい未来」(李洛淵〈イ・ナギョン〉元首相が代表)があります。
与党「国民の力」は国会議席の過半数獲得を目指しながらも厳しい状況が続いています。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は発足から2年(5月10日で)となりますが、この間、米国や日本との関係構築に力を注ぎながら北朝鮮に対する強硬体制を築き上げてきました。
特に昨年3月、世論の反対を押し切って日本との間で最大の懸案となっていた元徴用工問題の解決策を発表するなど、外交での「活躍」が目立ちました。
長く劣勢が伝えられていた「国民の力」ですが、2月半ばあたりから「追い風」を受けて、政権支持率も一時的に向上しました。
原因は、医師不足の解消などを理由に、大学の医学部定員の大幅な増員方針を決定したことでした。
医師団は猛反発し、勤務医らが集団で辞表を提出しましたが、政府はさらに医師免許停止の強硬策に打って出たのです。
さらに与党内の公認候補選びが順調に進んだことも要因の一つです。
韓国は日本と違い、既得権益の独占批判から多選議員が敬遠される傾向が強いのです。特に、保守地盤である南東部・釜山周辺選出のベテラン議員をいかに後退させることができるかが与党執行部の悩みの種でした。
ところが3月中旬あたりから、順風満帆に見えた与党側への風向きが変わってきています。
これまで支持率を押し上げる主要因とされてきた医療改革の反動です。
医師団側の徹底抗戦の構えに変化はなく、現場の医師は職場を離脱。医学部生が授業をボイコットする中、時間がたつにつれて生死が関わるような深刻な治療から定期検診に至るまで、十分な処置が受けられない実害が出始め、市民らの不満が高まり一部、政府批判に転じているのです。
さらに韓国軍兵士の殉職事件に関連し、職権乱用の疑いで捜査を受けていた前国防相・李鐘燮(イ・ジョンソプ)氏が、出国禁止措置を受けていたにもかかわらず、政権がそれを解除させ、駐オーストラリア大使に赴任させたことも反発を受けました。
進歩派政党が勢いづいています。
選挙戦が始まるやいなや、「共に民主党」は全国の各候補に対し、金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人の高級ブランドバッグ授受が違法行為であるとの疑惑に焦点を当てて、それぞれの選挙区で訴えるように指示を出し、徹底しています。
また、元法相で、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で「疑惑のタマネギ男」と揶揄(やゆ)された曺国氏が立ち上げた新党が勢いづいており、比例で一定の議席を獲得する可能性が指摘されています。
現時点での与野党の優劣はつけられませんが、どのような結果となっても尹錫悦政権の運営の厳しさは続くでしょう。
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