2024.01.29 17:00
コラム・週刊Blessed Life 299
派閥解散、自民党はどこへ行く!
新海 一朗
自民党政治が揺さぶられています。
その発端は政治資金パーティー裏金事件ですが、派閥解散の動きにまで広がってきています。
その先陣を切った形になったのは岸田首相です。首相の属する派閥(宏池会)を、首相自身が解散すると1月18日に宣言したのです。続いて、翌19日には安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)が解散を発表、25日には森山派(近未来政治研究会)も解散を決定し、自民党6派閥のうち、解散を決めたのは4派閥となりました。
これによって、自民党は7割が無派閥という状態になり、残りは麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)の二派になっています。
麻生氏はあくまでも派閥は残すという態度を表明し、27日、福岡県飯塚市での国政報告会で志公会は政策集団として存続させる意向を表明しました。
茂木派においては、小渕優子選挙対策委員長が25日に退会を表明、26日には、関口昌一参議院議員会長、石井準一国会対策委員長、福岡資麿政策審議会長の参議院自民党の幹部3人が同派を離脱する動きを見せました。
さらに参議院副幹事長の青木一彦氏も茂木派を退会する意向を表明していますから、中心的なメンバーが5人も抜けることになります。今後、茂木派はどうなるのかに注目が集まっています。
このような一連の流れを見れば、従来の派閥ありきの自民党政治が空中分解してしまったとも言えます。
そもそも派閥の解散とはどういう意味合いを持つものなのか。
政治資金パーティー裏金事件に端を発した派閥の解散であるならば、派閥の解散が政治資金問題の解決になると、首相は迷わず判断したのかということです。
家庭連合(旧統一教会)の問題はいわゆる霊感商法や高額献金問題である、それ故、これらの問題を解決するには宗教法人の解散しかないという手法で、一切の問題解決を「解散」で図ろうとする首相の姿と完全にかぶってしまうところが感じられます。
派閥に関して、東京工業大学の准教授である西田亮介氏は、「派閥には、人・物・カネ・組織があり、事務所などもある。今回宣言された解散はこれら全ての清算を指すのか」と疑問を呈し、「岸田総理はこれまで筆頭派閥である安倍派がいたことで政策を思い通りに進めてこられなかった。旧統一協会などで足を引っ張られたとも感じただろう。そんな中、不起訴に終わったものの安倍派に多くの政治とカネの疑惑が噴出。そこで岸田派が率先して解散を表明することで国民に対して改革のイメージを打ち出した。とはいえ、派閥を辞めたはずの岸田総理が、なぜ派閥の解散を決められたのか、違和感は残る」と語っています。
西田氏は「政治を行う上で、何らかの小グループは必要だ。自民党は大きく、数百人の意思をまとめるのはなかなか難しい。そこで、小集団ごとで意思決定をして、最終的に自民党の意思決定をする方法は合理的だ。この合理性を破って小グループを解散するのは難しいのではないか。派閥の解散=政治とカネの問題解決ではないと改めて認識すべきだ」と解説しています。(参照:ABEMAヒルズ)
西田氏のこのような解説を見ますと、どうも、岸田首相には「解散癖」があるようで、解散すれば何でも解決できるという思い込みがあるようです。
いずれにせよ、2024年、日本の与党政権は国民の審判を受ける状況に置かれています。厳しい審判が下るかもしれません。早くもポスト岸田を探る動きもあるようです。