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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A

 介護・福祉について分かりやすく解説する「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A」のテキスト版をお届けします。
 ナビゲーターは、家庭連合本部の宮本知洋福祉部長が務めます。動画版も公開中ですので、併せてご視聴ください。

第6回  高齢者福祉編⑤
介護保険を利用する際によく聞く「包括」「居宅」って何?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「介護保険を利用する際に、よく『包括』『居宅』という言葉を耳にします。『包括』『居宅』とは何なのでしょうか?」という質問です。

 介護福祉の現場において、「包括」は地域包括支援センターのことを指し、「居宅」は居宅介護支援事業所のことを指します。

 近年は核家族化が定着し、家庭での介護力が弱くなりつつあるので、高齢者を地域住民で見守るという考え方へ転換してきています。

 高齢者が住み慣れた地域で、能力に応じて、可能な限り自立した日常生活を営むことができるように、その地域の実情に応じて包括的な支援体制をつくり上げています。

 それが地域包括ケアシステムで、その中核を担う組織が地域包括支援センターです。
 包括はおおむね中学校学区ごとに1カ所程度設置されており、介護、医療、保健、福祉の側面から高齢者を支える「総合相談窓口」となっています。

 構成員は保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーの三つの職種で、それぞれの専門性を生かし、連携しながら分担して業務を行っています。

 包括の役割は四つあります。

 第1は、高齢者が自立した生活を継続できるよう、介護予防の支援をすることです。

 第2は、地域の相談窓口としての役割です。高齢者の困り事に対し、必要なサービスや制度を紹介します。

 第3は、高齢者の権利を守ることです。高齢者虐待の防止や、悪質な訪問販売などによる被害の防止、成年後見制度など、さまざまな支援制度の利用についての助言を行います。

 第4は、地域の高齢者福祉の包括的、継続的ケアマネージメントを行うことです。地域全体の医療・介護分野の専門家から地域住民まで、幅広いネットワークをつくり、その地域の問題の解決や調整に臨みます。

 国の目指す地域共生社会の実現に向けて、包括の役割は今後一層重要になってくると思います。介護サービスを利用する際、最初に相談する窓口ですから、皆さまにとって、とても心強い味方だと言っていいでしょう。

 離れて暮らす親御さんの様子に不安を感じたときなども、親御さんが居住する地域の包括に連絡してみてはいかがでしょうか。

 次に、居宅介護支援事業所、「居宅」についてお話しします。

 居宅は、ケアマネージャーが常駐し、要介護認定を受けた高齢者の居宅サービス計画書、いわゆるケアプランを作成するところです。

 介護サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着サービス」の3種類がありますが、そのうち、自宅で生活しながら利用できるものが居宅サービスです。

 介護保険制度の、それまでの制度との大きな違いが「利用者本位」という考え方です。
 それまでは自治体が必要性を判断してサービスの内容を決めていました。これを「措置制度」と呼びました。

 しかし介護保険制度になってからは、介護事業者が提供する多様なサービスの中から利用者自身が自分に合ったサービスを選択し契約できるようになりました。これを「契約制度」と呼んでいます。

 ただ、介護サービスは種類が多く、住んでいる地域によってどのようなサービス事業者がいるかなど、初めて介護に直面した人にとっては分からないことが多いものです。

 ですから、介護サービスの選択や契約の際に、利用者の意向や状況を理解し、適切なサービスを提案し、ケアプランを作成してくれるケアマネージャーが必要なのです。

 そしてそのケアマネージャーが在籍しているところが居宅ということになります。

 ケアマネージャーを選定するまでの流れを説明すると、まず要介護認定の申請書を市区町村の介護保険課や包括に提出します。

 調査員による認定調査の後、支援が必要だと判断された場合、要介護度が認定されます。
 通知を受け、介護保険証を受け取ったら、市区町村窓口や包括などに問い合わせ、その地域を担当している居宅を教えてもらいます。

 教えてもらった居宅の中から良いと思う所を選んで連絡し、説明を受けて、ケアマネージャーを選定するということになりますが、自治体にどのケアマネージャーがいいか直接打診してみるのもいいでしょう。