https://www.kogensha.jp/news_app/detail.php?id=22576

【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A

 介護・福祉について分かりやすく解説する「ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A」のテキスト版をお届けします。
 ナビゲーターは、家庭連合本部の宮本知洋福祉部長が務めます。動画版も公開中ですので、併せてご視聴ください。

第5回  高齢者福祉編④
介護保険を利用するためには?

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 今回は、「介護保険を利用するためには、どのような手続きをしたらよいのでしょうか?」という質問です。

 前回、介護保険制度とは何かについてご説明させていただきました。
 今回は、その制度を利用してサービスを受けるためにはどうしたらよいかについてお話しさせていただきます。

 まず、介護サービスを受けられる対象について説明します。

 前回お話ししましたように、被保険者には2種類あって、65歳以上のかたは第1号被保険者、40歳以上65歳未満のかたは第2号被保険者となります。
 第1号、第2号共に保険料を支払わなければなりませんが、サービスを受給できるのは原則として第1号被保険者のみとなります。

 第1号被保険者なら、介護認定されればサービスの利用が可能ですが、第2号被保険者は、脳血管障害や末期がん、関節リウマチなど、介護保険で定められている16種類の特定疾病が原因で介護が必要になった場合のみ、サービスの利用が可能となります。

 介護保険で受けられる介護サービスには、大きく分けて自宅に住む人のための「居宅サービス」、施設に入居する人のための「施設サービス」、認知症高齢者や要介護高齢者が住み慣れた地域で生活できるようにするための「地域密着型サービス」の3種類があります。

 居宅サービスはさらに訪問介護や生活援助などの訪問型、デイサービスやデイケアなどの通所型、ショートステイと呼ばれる短期滞在型に分かれます。

 訪問型の場合は、ホームヘルパーが自宅に来て、食事や排泄、歩行、入浴の介助などをしてくれるほか、部屋の掃除、洗濯、調理などの日常生活のサポートもしてくれます。

 通所型の場合は、利用者が日帰りで施設に通い、食事や入浴などの介助や機能訓練を受けることができます。

 介護保険を利用するためには、まず本人や家族が居住する市区町村の介護保険課窓口で要介護認定の申請手続きをします。地域包括支援センターや居宅事業所のケアマネージャーなどに申請手続きの代行を依頼することもできます。

 申請を行うと、介護認定調査が行われます。役所から任命された認定調査員が自宅や施設、病院を訪問し、普段の様子や心身の状態を聞き取り調査します。

 調査結果とかかりつけ医師の意見書に基づき、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」で審査が行われ、判定されます。調査は介護の手間がどれだけかかっているかを聞き取るものであり、病気の状態によって介護度を決めるわけではありません。

 普段の様子で気になることは事前にメモしておき、調査員に伝えられるようにしておけばよいでしょう。

 また、本人の前で言いにくいことはメモを渡すなどして伝えることもできます。

 介護認定は、介助なしで日常生活を送ることが可能な「自立」、要介護への進行を予防するために支援が必要な「要支援12」、何らかの介護が必要な「要介護15」の三つに分かれます。

 数字が大きいほど要介護度が重く、例えば、食事や排泄など日常生活を遂行する能力が著しく低下し、歩行や両足での立位保持、意思の伝達がほとんどできないような状態であれば「要介護5」の可能性が高くなります。

 要支援・要介護の認定結果が出たら、ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼します。

 ケアマネージャーは本人や介護者の意向を聞きながら、認定結果の要介護度、家族などの介護力、経済状況などを考慮してケアプランを作成します。
 作成が終わったら、いよいよサービスが開始されます。開始後も心身の状況変化によってプランを変更することは可能です。

 不安なことや疑問があればケアマネージャーに相談し、要望を伝えるようにしましょう。