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スマホで立ち読み Vol.27
回顧録『愛あればこそ』14

久保木哲子・著

(光言社・『回顧録 愛あればこそ』〈2015525日初版発行〉より)

 スマホで立ち読み第27弾、回顧録『愛あればこそ』を毎週金曜日(予定)にお届けします。
 久保木修己・家庭連合初代会長の夫人である久保木哲子さん(430双)が、2023918日に聖和されました。故人の多大な功績に敬意を表し、著作である『回顧録 愛あればこそ』を立ち読みでご紹介いたします。
 ここでは第5章と第6章を試し読みいただけます。

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第六章 グランドツアー

「ハナニムノム マンセー」

 久保木は声が大きいので、名節などでエンターテインメントが終わって最後に万歳三唱の音頭を取ることがよくありました。

 ある名節の時も文(ムン)先生から「久保木、万歳三唱をやれ」と言われました。ところが、久保木は「ハナニム マンセー」と韓国語で唱和するところを、「ハナニムノム マンセー」と言ってしまい、韓国の先生方から大爆笑が起こりました。その笑いがなかなか止まりません。中には、おなかを抱えて笑い転げる人もいました。

 「ハナニムノム マンセー」というのは、日本語に訳すと「神様の奴、万歳!」となり、とんでもない意味になってしまったのです。それでみんな、とんだ珍事に笑いの渦となったのでした。

 怪訝(けげん)な顔をしている久保木に解説が入って、やっとのみ込めた様子でした。

 それでも久保木は「はあ、そうなんですか。私の耳には、ノムと聞こえたので、そういうふうに言わないといけないと思って、まねしたんです」ということでした。

 韓国人が「ハナニム マンセー」をした時、久保木には「ノム」と聞こえたらしいのです。

 外国語を語る時、しばしばこうしたハプニングが起きるものです。

 ある韓国の幹部が日本に来た時、日本語がよくできなくて、日本の若いメンバーに対して「皆さんは神様の金玉です」と言ったことがありました。本人は「金の玉子(卵)」と言いたかったのでしょうが、言葉を短縮したので意味が変わってしまったわけです。

 冗談を言って周りを和ませるのは、久保木の得意とするところです。

 文先生のご一行をお迎えすると、みな緊張して黙っています。その場の空気を変えたいところですが、そんなとき、久保木が一人で場を盛り上げてくれるのです。それは絶品の手腕でした。

 それは佼成会時代から結婚式やエンターテインメントの司会役をこなしてきた経験から来るものというより、生来の底抜けの明るさが笑いを呼び込むのだと思います。

 文先生からも、「怒ろうと思ったけど、久保木! お前の顔を見たら、先生、怒れなくなったよ」と何度言われたことか分かりません。

 文先生が怒ったら、それこそ虎が吠(ほ)えるようで、誰しもが震え上がる思いをするのですが、久保木はそんな叱(しか)られ方をされたことがなかったのではないでしょうか。

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 「スマホで立ち読み」での連載は、今回が最終回となります。ご愛読ありがとうございます。続きは、ぜひ書籍でご覧ください。



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