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平和の大道 62
大陸の海洋化による世界平和推進

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

大陸国家の宿命

 陸地の土地がどこかの国に属している大陸国家では、土地への執着心が強く、土地に縛られ、必ず縄張りができる。それを維持、あるいは拡大しようとして国家間の争いが繰り広げられ、国境の数だけ対立が生じる。

 陸地に国境線があると、すぐ目の前に外国(敵国)が存在しており、いつ隣接国が国境を越えて攻めてくるかも知れないという恐怖心が本能的に働く。自国を守ろうとすれば、否応なく閉鎖的とならざるを得ず、国境線を可能な限り外に向かって広げていき、隣接国との間には強固な障壁を構築しなければ安心できないという心理が働く。

 そこで、大陸国家では、自国の防衛を強固にするためには領土拡張が必要であるという論理が構築されるようになる。これが地政学で言うところの「生存圏」という概念にもなる。この論理は相手国にも適用され、必然的に相互に領土拡張という方向に向かい、領土争いを巡って紛争、戦争へと発展していく。

 これがランドパワーの大陸国家の宿命、「カルマ(業)」である。閉鎖的な大陸国家は、大陸国家であるという地政学的な観点だけから見ても、必然的に戦争の要因をはらんでいると言える。

自由と平和の海洋文化

 大陸は閉鎖的であるが、一方、海洋は自由である。海洋国家は交易地と商圏を重視するため、必然的に海洋の自由通行を求める。海洋では、どこの国にも属さない公海の領域が主流であり、自由通行が原則である。目の前に、目に見える形での国境線がなく、隣接国(敵国)が存在しているわけではないので、敵国がすぐに攻めて来るわけではない。

 反対に、通商や交易をするためには、国境がないほうがよく、交流する地域や関係国家間が平和であることが必要であり、特に海洋の自由通行が望まれる。交易は、平和と自由の環境の中で、公正、公平でなくては続かないから、ルールを決めてそれに従ってなされる。それで古代ギリシャや近代のイギリスのような海洋国家では平和と自由を基調とした民主主義が萌芽した。

 ところが、大航海時代の西洋列強は海洋に進出し、ことごとく「帝国」と化し、アジアやアフリカを植民地化したのは、海洋国家の文化に反して、他国への領土的野心という大陸国家の「カルマ」を海洋に持ち込んだからだ。

 今の共産主義国家、中国が、強大な軍事力を背景に海洋進出し、海洋にまで強引に縄張りをはろうとしているのは、大陸国家の領土的野心の「カルマ」を超克できず、新たな大陸国家型の帝国主義を海洋にまで持ち込んだためだ。

大陸の海洋化を促進

 大陸国家のこの「カルマ」を超克し、自由と平和の「海洋の世紀」を切り開くことが、21世紀の世界平和への課題である。そのためには、大陸の自由化、大陸の海洋化が求められる。それでは、いかにして大陸を海洋化し、自由化することができるのか。それが国際ハイウェイ構想の目指すところである。

 国際ハイウェイ構想は、大陸の中に、両側数キロメートルの自由地帯を伴った高規格の高速道路(鉄道)ネットワーク(網)を張り巡らし、大陸の中に国境のない自由通交圏をグローバルに構築することがその眼目である。大陸の中にどこの国家にも属さない自由通交の「公海」を開くようなものである。こうすることで閉鎖的になりやすい大陸に自由の息吹を吹き込み、大陸の海洋化を促進する。そのビッグプロジェクトが国際ハイウェイ構想である。

 その一帯が交通の大動脈となることによって、それまで国家を外敵から守っていた国境が自由通交の障害物となり、国境撤廃運動へと発展する。

 その結果、人類歴史上克服することが困難であった大陸国家の「カルマ」とも言うべき土地に対する執着心、縄張り争い、領土拡張欲が消えていくようになり、戦争の一大原因である領土的野心が縮小し、戦争の主要原因が消えていく。大陸国家の文化も、戦争よりも平和、閉鎖よりも解放、抑圧よりも自由を求める方向へと変わっていく。

 国際ハイウェイを大陸の中に敷きつめることにより、大陸が海洋のようになり、その結果、自由と平和の世界が開け、戦争する必要性がなくなっていく道が開ける。これが、国際ハイウェイ構想が現実的に戦争の原因を除去して世界平和を作り出せる大いなる効果である。

(『友情新聞』2016年8月1日号より)

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 次回は、「夢実現に必要な公共事業」をお届けします。


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