愛の知恵袋 180
ひと息ついて、見つめ直そう

(APTF『真の家庭』301号[202311月]より)

松本 雄司(家庭問題トータルカウンセラー)

久しぶりの夫婦セミナー

 先日、あるボランティアグループからセミナーの講師依頼がありました。家庭学を基本に夫婦関係の改善と成熟を目指す12日での夫婦セミナーでした。会場はくじゅう連山のふもとのホテルで、秋晴れの良い天気に恵まれました。参加者は10数名で小規模のセミナーでしたが、新型コロナであらゆる講演会やセミナーが中断された2020年の春以来、実に3年半ぶりのことであり、私にとっても感慨深いセミナーになりました。

 初日の午後4時に開会。会場には4070代のご夫婦が参加しておられました。

 最初の講座は「明るい家庭をつくる幸せ実現の法則」というテーマ。まず、婚姻件数・離婚件数・初婚平均年齢・生涯未婚率などのデータを通して、現在の日本の結婚と家庭の実情を考えます。そして、結婚生活が破綻する直接的・間接的な原因を確認した上で、「ベストカップルになるための20のポイント」を話しました。

 夕食は野外会場でバーベキューを楽しんだあと、夜はフリータイム。夫婦がそれぞれに温泉に入ったり歓談したりして水入らずの時間を過ごしました。

より良い夫婦を目指して学ぶことは楽しい

 翌朝はゆっくりと朝食をとって午前8時半から第2講座。テーマは「夫婦の会話を楽しくする上手な話し方」。夫婦の会話の大切さ、会話を委縮させてしまう行動、上手な聞き方と上手な話し方等について学びました。そして、夫婦で「結婚した時の私の夢」と「これからの私の夢」について語り合って頂きました。

 ここで休憩をしてティータイム。あとは最後の第3講座。テーマは「愛情表現を豊かにしよう!」です。私達日本人は愛情表現が苦手ですが、夫婦間のすれ違いをなくし絆を深めていくためには、愛情表現のスキルアップが非常に大切です。

 愛情表現の三つの方法―言葉で伝える方法、態度や行動で示す方法、手紙やメモで伝える方法―を実例で練習し、最後に、一枚の便箋に各自が心を込めて愛の手紙を書いて伴侶に手渡しました。

 終了後は昼食をとって、それぞれが帰途につきました。カップルの皆さんが、来た時よりもずっと明るい笑顔になっていたことが印象的でした。

学べば目からうろこの発見

 参加した方々からは、「多忙な仕事から離れて、久しぶりに夫婦で密度の濃い交流の時間が持てた」「もっと仲の良い夫婦になるための秘訣をたくさん知ることができた」「これからお互いに努力して、もう一段高いレベルの夫婦関係を目指していきたい」等々の声が聞かれました。

 参加者は年齢も職業も様々でしたが、「夫婦で向きあう良い時間が持てた」ということと、「夫婦仲をよくするための具体的方法があることを知って、目からうろこだった」というのが共通した感想のようでした。

長い結婚生活に必要なのは「愛のリセット」

 私達は若い頃、夢と期待を持って結婚生活を出発しました。しかし、仕事や子育てに追われているうちに本音の対話や情的な交流が失われ、いつしか不満や葛藤が生じて、心の中に鬱憤やストレスが溜まっていることがあります。

 幸せを求めて結婚しながらも途中で生じた試練を越えられず離婚に至ってしまう夫婦も少なくありません。その現実が示すように、夫婦間の愛情や家族の絆というものは、「同じ屋根の下で暮らしていれば自然にできる」というような簡単なものではありません。

 どんな夫婦でも、一生の間には「もう嫌だ…」と思うような心境になることが幾度かはあるものです。そこで別れるか、あるいは立ち止まってもう一度やり直すか、そのどちらを選択するかで道が全く違ってきます。

 私の考えでは、途中で何度でもやり直して、人生の晩年にでも、「ああ、いろいろあったけど、あなたとこんな仲の良い夫婦になれて良かった」と言えたならば、立派な結婚生活の勝利者だと思います。

 そうなるためには、男と女の心理の違いや、愛し愛される智恵と技術を学ぶ必要があります。その意味で「夫婦セミナー」は最良の場だと思います。

 夫婦での参加が難しい場合は、「女性(男性)のための家庭学講座」で学ぶのも良いし、関連する本を読んで学び合う方法もあります。

 相撲で言えば「仕切り直し」、パソコンで言えば「リセット」。せっかく結婚したのですから諦めずに、途中で何度でもやり直して最後の幸せをつかむ…それが出来たら成功です。夫婦で成功の秘訣を学び、新たな目標に向かって再出発することができれば素晴らしいことだと思います。

オリジナルサイトで読む