神様はいつも見ている 29
~小説・K氏の心霊体験記~

徳永 誠

 小説・K氏の心霊体験記「神様はいつも見ている」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 世界平和統一家庭連合の教会員、K氏の心霊体験を小説化したものです。一部事実に基づいていますが、フィクションとしてお楽しみください。同小説は、主人公K氏の一人称で描かれています。

第4部 霊界からのメッセージ
5. 13回忌にあいさつする父

 200310月、父の13回忌の法要を行った。
 1周忌、3回忌、7回忌にはお寺のお坊さんを招いて、仏式の供養を行ってきた。
 それは、親族や知人友人、家業の仕事先の関係者らを呼んで行ったため、残念ながら、統一教会(現・家庭連合)式の供養を行うのが難しかったという事情があったからだ。
 しかし13回忌ともなると、集まるのはほとんどが家族と親戚だけとなる。その意味では、あまり気を遣う必要もない。

 私は、仏式ではなく、統一教会式のやり方で父の13回忌を行いたいと思っていた。
 そうしないと、霊界の父が本当の意味で供養されないと考えていたからだ。
 親戚の中にも、まだ祝福を受けていない人たちがいたので、この機会を利用して祝福を受けてもらいたいとも考えていた。
 私は母と兄夫婦に相談した。

 「お母さん、お父さんの13回忌は、仏式ではなく統一教会で行っている追慕式という形でしたいんだけど、どうかな?」

 「そりゃ、ええね」

 兄も「いいよ。テツオの考えのとおりにしたらええ」と快諾してくれた。

 母と兄夫婦の了解を得た私は、姉に相談した。

 「姉ちゃん、追慕式はどうやったらいい?」

 「そうやねえ。テツオはどうしたいの?」

 私の考えは、追慕式の主賓として、霊界の父にあいさつをしてもらったらどうか、というものだった。

 「それはええかもしれないね。お父さんから直接統一教会のことを証ししてもらおうよ」

 その場面を思い浮かべながら、私たちは思わずほくそ笑んだ。

 当日は、父方、母方のおじ、おば、いとこなどの家庭が集まった。

 私の実家の神道の教会になっている2階の部屋は、仏式にはない華やかな明るいイメージで整えられた。
 掲げられた父の遺影も、心なしか喜んでいるように見える。

 集まったおじやおばたちは、ちょっと不思議そうな表情を浮かべながら、それぞれの座に着いた。
 頃合いを見計らって、母が立ち上がってあいさつした。

 「今日は、お坊さんは来ません。主人が霊界から『テツオにやってほしい』と言ってきたので、今日は統一教会式のやり方で法要を行います」

 司会は姉が担当し、私が主礼を務めた。
 式次第が進み、私は「これから父があいさつします」と述べた。

 すると、母に父の霊がズバッと入った。

 「おまえたちな、死んだら分かるけど、それでは遅いぞー」

 父の相変わらずのハイテンションな登場の仕方に、私は思わず苦笑しそうになったが、それはなんとかこらえた。

 「だから霊界に行ってから後悔せんように、今から私の言うことを聞きなさい」

 参席者は皆、神妙な面持ちで静聴していた。
 誰も一言も話さないし、真剣な表情だった。

 親族は私の言うことは聞かないが、長年神様に仕えて、病気を治したり悩みを聞いてくれたり親身に世話をしてくれた母の言うことは無条件に受け入れた。

 「今から、テツオの言うことをよく聞いて、そのとおりにしたらええ。そうすれば、死んだ後、天地の違いや」

 私は主礼として20分ほど統一教会が行っている祝福結婚の意義と価値について話をした。
 最初に父がくぎを刺してくれたので、親族たちは真剣に聞いていた。

 祝福結婚の説明をひととおりした後、聖酒式を行った。
 もし私たち兄弟だけで行っていたら、これほどスムーズにはいかなかっただろう。
 親戚たちは統一教会に対して良いイメージを持っていなかったからだ。

 だが、母の言うこと、そして死んだ父の霊が言うことは信じた。
 だから、母の口から語られる「今からやる儀式は全て受けなさい」という父の言葉に、皆従ったのだ。

 一人一人が献花と焼香をしている時に不思議なことが起こった。

 父の兄弟のうちでただ一人存命中の叔父が焼香をしていた時のことだ。
 父の父、つまり私の祖父が霊界から降りてきて母に入ったのだ。

 祖父は叔父に向かって諭すように言った。

 「この家族に礼を言いなさい」

 「この家族」とは、母や兄夫婦、姉夫婦、私たち夫婦を指す。

 祖父の言葉に参席者たちは驚いていたが、祖父の霊は穏やかに続けた。

 「この子らのおかげで霊界の明るい所に出られて、皆が救われたから、礼を言ってくれ」

 この祖父の言葉で、一同は改めて、統一教会が行っていることの偉大さに感銘を受けたのだった。

(続く)

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 次回は、「韓国での最初の試練」をお届けします。