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神様はいつも見ている 24
~小説・K氏の心霊体験記~

徳永 誠

 小説・K氏の心霊体験記「神様はいつも見ている」を毎週土曜日配信(予定)でお届けします。
 世界平和統一家庭連合の教会員、K氏の心霊体験を小説化したものです。一部事実に基づいていますが、フィクションとしてお楽しみください。同小説は、主人公K氏の一人称で描かれています。

3部 霊界から導かれて
5. 霊界の祖母からの訴え

 私が統一教会(現・家庭連合)に入ってから間もない頃の出来事だった。父方の祖母が母を通して霊界から降りてきたことがある。

 私の父と母が結婚したのはちょうど戦争が終わる頃で、生活が大変な時だったが、祖母はその事に触れて、申し訳なさそうに語った。

 「お前たちが結婚した時、十分なことをしてあげられなくて申し訳なかった。そう言っておいてくれ」

 地上で思い残したことは霊界にあってもいつまでも忘れられないのだ。

 祖母はため息をつきながら続けて語り始めた。

 「シゲオがよう、シゲオがよう」

 「シゲオ」というのは祖母の末の息子で、私の父にとっては一番下の弟、つまり私にとっては叔父に当たる人だ。

 このシゲオ叔父さんは薬剤師の仕事をしていた人だったが、若い頃に恋愛をしてうまくいかず、服毒自殺で亡くなっていた。

 なぜ祖母がシゲオ叔父さんの名前をしきりと繰り返すのか不思議だった。
 そのことを尋ねてみると、霊界では上の階層にいる者が、下の階層の者たちの様子を見ることができるのだと祖母は答えた。

 祖母によれば、シゲオ叔父さんは暗く寂しい地の底のような場所にいて苦しんでいるのだという。

 キリスト教をはじめ多くの宗教では、神から与えられた命を自ら断つこと、すなわち自殺することを最大の罪だと教えている。
 それ故、自殺した者は地獄に落ちるという教えが説かれているのだ。

 生前のシゲオ叔父さんは性格も良く真面目な人だった。しかし自殺したことで地獄に落ちてしまったのだろうか。

 「シゲオを何とか助けてやってくれ。何とかしてあげてくれ」

 祖母が私にそう訴えてきたのは、霊界で苦しんでいる霊人たちを、統一教会は救うことができると知っているからだった。

 「シゲオがよう、シゲオがよう」という祖母の嘆き声が今でも耳に残っている。

 霊界には、多くの先祖たちが存在している。しかし、それぞれ生前どのように生きたかによって霊界での居場所が違うのだ。

 祖母がシゲオ叔父さんを気遣い心配していることからも分かるように、死んでからも肉親の愛、母の子に対する愛情は消えることはない。
 だから、墓参りや供養などの儀式というものは、単なる習俗ではなく、霊界の人々のために必要なものなのだ。そして先祖たちもまた、子孫たちを見守ってくれているのである。

 祖母のケースとは違うが、後に兄夫婦から聞いた興味深い話がある。

 私の家では、神社仏閣のお参りや墓参りなどは、霊を慰めたり、神仏の加護を得たりするために熱心にやっていた。

 母と兄夫婦が親族の墓参りに行った時のことだ。母に先祖の霊が降りてきたという。

 「わしらは長い間、暗くて寂しい所にいたが、あの子らのおかげでな、どんどん明るい所に出してもらっている」

 先祖の言葉は兄夫婦を驚かせた。
 あの子らとは、姉と私のことを指していたからだ。

 毎日、熱心に家の教会でお勤めをし、先祖供養を熱心にしていた兄夫婦ではなく、統一教会の活動に没頭して家にも帰らず、墓参りなどもろくにしていないのに、姉と私のおかげだというのだ。

 兄夫婦にとってはショックだった。

 おまけに、「あの子らの子供を、何とか助けてやってくれ」とも話していたという。

 兄夫婦にとっては面白くないことだった。この事は長い間、私たちに伝えられることはなかった。
 だが、この出来事以来、兄夫婦の私たちを見る目が変わっていったのである。

(続く)

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 次回は、「父の死、父の人生」をお届けします。