2023.09.29 22:00
統一原理補講 11
復帰摂理から見た歴史発展
ナビゲーター:佐野邦雄
「統一原理補講」は、1993年7月から1994年8月にかけて、あの伝説のメディア『氏族教会FAX-NEWS』に掲載されたシリーズです。
執筆者は、原理講師として著名な佐野邦雄氏です。30年の時を超えてよみがえる原理学習ページ。統一原理学習の補助教材としてご活用ください。(一部修正加筆し、小見出しを付け、読みやすく改訂しました)
人類歴史は、神の復帰摂理に基づいてメシヤを迎え人類を救済するために、個人から国家・世界に至るまで、神とサタンが熾烈(しれつ)な闘争を続けてきた善悪闘争歴史でした。
歴史とは、個々の人間が横的に連結してできた社会や国家が、時間の縦的流れと共に変遷してきたものです。
従って、あたかも人間個人に心と体の内外両面性があって内的心の世界が外的行動として表現されるように、歴史にも内外の両面性があるのです。
つまり、歴史は内的神の摂理がその本質であって、それがメシヤを迎え神のみ旨を成就するのに最もふさわしい外的な社会制度を求めて、その時代特有の政治や経済を形成してきたのです。
これが「復帰摂理から見た歴史発展」です。
(1)社会制度の変遷
「摂理的同時性の時代」の項目で明らかにされたように、人間始祖の堕落に始まった人類歴史の摂理的な6000年は、大きくは3段階に時代区分されます。
それらは家庭的範囲の復帰基台摂理時代、民族型(国家型)の復帰摂理時代、世界型の復帰摂理延長時代として、その規模の違いはあっても「メシヤのための基台」を巡って同一のパターンをもって展開してきました。
そしてそれらはそのまま社会形態の時代的変遷に反映されています。
つまり復帰基台摂理時代はその規模が家庭復帰なので、いまだ社会形成には至らず顕著には現れていませんが、復帰摂理時代と復帰摂理延長時代においては、社会制度の変遷において明らかな同一型を見ることができるのです。
原始共同社会に始まり、氏族社会(部族社会)、封建社会(奴隷制社会、貴族社会)、君主社会(専制君主社会)、民主主義社会、社会主義社会、共産主義社会という流れは、多少の地域的差異や時代的ズレはあっても、どの民族の歴史においても見られる普遍的パターンであり、このことからも神の摂理を立証することができます。
神の摂理を知らずにこの事実を明らかにしたのが唯物史観であって、それが神を否定した弁証法的唯物論に基づく歴史観であっても、多くの人々の心を動かし、共産主義社会の実現を理想とする革命運動に駆り立ててきたのは、この歴史に貫かれた原則の故なのです。しかし彼らは歴史がなぜそのような展開をするのかという理由については分からなかったのです。
(2)各段階における社会制度の意義
原始共同社会→氏族社会
人間始祖が堕落することによって、サタンを中心としてつくられた社会が原始共同社会でした。それは神が本来完成した人間を中心としてつくろうとした理想世界である共生共栄共義社会を、サタンが神に先取りして非原理的につくったものです。
それは一見理想的であり、堕落人間であっても相互に足りないものを補い合おうとする社会でしたが、人間の本心作用により、それは最初から闘いや分裂が絶えず、結局は崩壊せざるを得ませんでした。
復帰基台摂理時代は、神の摂理を担当する善の側の中心基台を求めて、アベル・ノア・アブラハムらが召命されました。結果的には、ヤコブの勝利によって「メシヤのための家庭的基台」が完成し、その後イスラエル氏族社会が形成され、神の摂理を担当する選民となりました。
復帰摂理時代に入り、エジプト苦役時代にはイスラエルの氏族は12部族を編成し、やがてイスラエル民族(ヘブル民族)としてモーセを中心とする選民形成を行ったのです。
復帰摂理延長時代のローマ帝国時代には、イエスと12使徒を中心にクリスチャンが新しい選民となり、原始キリスト教社会(初代教会時代)を迎えます。
迫害の中、サタンを中心とする社会には分裂が生じますが、それは摂理を担う中心民族(選民)を立てるためにあったということができます。
封建社会
封建社会の特徴は、奉仕と服従を前提とする主従関係による政治制度と、封土や荘園を中心とする封鎖的な自給自足の経済体制にあります。
その摂理的意義は、どこまでも過渡的体制であって、氏族社会を中心として発展した天の側の民族(選民)をして、サタンに奪われてきた主権と民と版図(土地)を取り戻すことにありました。サタンの再侵入を防ぎつつ、大きな天の側の版図を形成し王の王として来られるメシヤを迎えて統一王国を完成するためだったのです。
復帰摂理時代では、カナンを復帰したイスラエル民族がカナン七族を制圧し、部族ごとに土地分割してイスラエル封建社会を形成しました。これが士師時代です。
復帰摂理延長時代では、ローマ崩壊後西進してきたゲルマン民族がキリスト教を受け入れて選民となり、西欧各地に形成していった教区長制キリスト教会時代がこれに当たります。
君主社会
君主社会は、メシヤが来られて王の王として君臨することができる基台を造成するために、それまでの地方分権的封建社会を統合して一人の国王のもとに強大な主権と民と版図を形成するためのものです。
復帰摂理時代においてサウル王をもって始まった統一王国時代はそのためでした。しかしダビデ・ソロモン王に至り、堕落によって国王の位置にサタンが侵入することにより、神はこの王国を南北二つの王朝に分立せざるを得なくなったのです。やがて二つの王朝はアッシリア、新バビロニアによって滅亡させられてしまいます。
一方、復帰摂理延長時代においても、チャールズ大帝を中心とするキリスト王国(フランク王国)時代を迎えて君主社会が形成されましたが、後に不信仰に流れた後継者たちによる国土分割によって王朝は東西に分立されてしまします。
そしてやがて国王のみならず教皇(法王)までもが腐敗堕落し、その地位までサタンに侵入され、ついには南仏アヴィニヨンに幽閉されてしまう結果となりました。
民主主義社会
民主主義が登場したのは、メシヤ王国を建設なさろうとする神のみ旨から離脱した君主社会のサタン的独裁を除去し、民意によってメシヤが王位を継ぐことができるようにするためでした。
復帰摂理時代では、ユダヤ王国滅亡後、ユダヤ民族は多くの異邦の属国となり、特にギリシャ文明圏内の属国となることによって民主主義型の社会を準備したのです。
しかしユダヤ民族の民意は、イエスを十字架で殺害し、アブラハムの血統に始まった2000年の復帰摂理時代はサタンの侵入を受けてしまいました。
復帰摂理延長時代は、法王の捕虜および帰還時代を経て、宗教改革やルネッサンスを通して民主主義時代を迎えました。
しかし政治面では、それまで存続してきた封建社会から民主主義に移行させることは極めて困難だったので、17世紀中葉から絶対主義に基づく専制君主社会をきたらせ、強制的に封建領主たちを除去しつつ、民主革命によって民主主義に移行させることとなりました。
これが18世紀末葉のフランス革命に代表される民主主義時代の始まりです。
共生共栄共義主義と共産主義
サタンは神の摂理に先立って共産主義社会の実現を指向してきました。
再臨のメシヤを中心として完成される地上天国とは、形態としてはメシヤ王国ですが、従来の君主社会と異なり、神の心情と一つになった真の父母であるメシヤを中心として形成される一大家族社会です。それがまさに共生共栄共義主義の社会です。
今人類は、神のもとに新しい経済体制と創造理想実現のための政治体制を実現すべき時を迎えているのです。