2023.09.12 22:00
脱会説得の宗教的背景 4
再臨主の来られる場所
教理研究院院長
太田 朝久
YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。
クリスチャンの再臨に関する信仰的判断とは
「統一原理」を、比較宗教、比較思想の観点からお話ししていく前に、キリスト教が家庭連合(旧統一教会)や文鮮明(ムン・ソンミョン)師に対し、激しく反対する理由を、もう少しお話ししておこうと思います。
反対牧師が家庭連合(旧統一教会)を排斥する理由として、文師は「偽キリスト」という信仰的判断があります。
クリスチャンは、再臨は2000年前、復活されたイエス様そのものが来られると信じています。また再臨主は、「天の雲に乗って来る」(マタイ24・30)と信じ、その場所はエルサレムだというのです。
ところが、文師は韓半島(現在の北朝鮮)の出身であるため、その一点で「偽キリスト」と判断し、排斥しているのです。
この「偽キリストだ!」という批判は、2000年前のユダヤ教が、イエス様に下した判断でもあります。
「天からのしるし」を求めた、当時のユダヤ教指導者
ユダヤ教指導者は、イエス様に対して「天からのしるしを見せてもらいたい」(マタイ16・1、同12・38、マルコ8・11、ルカ11・16)と詰め寄り、“天からのしるし”(証拠)を求めました。
それに対するイエス様の答えは「ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられない」(マタイ12・39)というものでした。
すなわち、ユダヤ教徒がイエス様を不信することで引き起こされる受難、十字架と墓中3日間が、イエス様の正統性を裏付ける「天からのしるし」(証拠)になるのだと、イエス様は言われたのです。
イエス様を不信する人々は、ピラトの法廷で「偽キリスト!」と非難し、「脱税の罪」(ルカ23・2)の罪状をもって訴え、十字架へ追いやりました。
現代も、再臨(メシヤ)を待望する反対牧師は、文師を再臨主と信じられず、文師を「偽キリスト」として排斥しています。
そして文師は、イエス様の時と同じように「脱税の罪」で訴えられ、米国のダンベリー刑務所に服役されました。
私は、2000年前のイエス様の受難と、文師が受けてこられた迫害の路程があまりにもよく似ていることに気付き、『統一教会の正統性』(1993年5月発刊)を著しました。
また2000年前、初代教会のクリスチャンは、ユダヤ教から迫害されましたが、彼らはイエス様が受けた“受難”に対する裏付けを、旧約聖書から“預言成就”というかたちで見いだし、イエス様やキリスト教の「正統性」を主張しました。
現代も、文師が受けた“迫害”と“受難”を、イエス様の類似性として、新約聖書の聖句をもって裏付け(ヨナのしるし)、その「正統性」を主張することができます。
これによって、新約聖書は、まさに神の啓示の書であることが裏付けられます。
文師が再臨主である“天からのしるし”(証拠)は、まさに受難(ヨナのしるし=イエス様と同じ路程)がその証明となっているのです。
世界が一つになるチャンスの時だった2000年前
次に、「時のしるし」について述べておきたいと思います。
現代、反対牧師の信仰の“つまずき”となっているのが、文師が韓半島の出身者であるという点です。
クリスチャンは、再臨主はエルサレムに来られると信じています。
2000年前、イエス様はメシヤとして来られましたが、そのイエス様を信じることができなかった当時のユダヤ教指導者は、イエス様に次のように詰め寄りました。
本当にメシヤであるなら「天からのしるしを見せてもらいたい」(マタイ16・1)。それに対し、イエス様は次のように答えられました。
「あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのか」(マタイ16・3)。
このように、イエス様は「時のしるし」を見分けなければならないと言われました。
実は2000年前、イエス様が生まれた時の“世界情勢”は、世界平和を実現する千載一遇のチャンスの時でした。
すなわち、ユダヤの国を中心として見ると、左側に“物質文明圏”であるローマ帝国が一大版図を築いており、右側には儒教や仏教を中心とする“精神文明圏”が一大版図を築いていました。
世界は大きく二つの版図にまとまっていたのです。また、ローマ帝国には「全ての道はローマに通ず」といわれるアッピア街道が整備され、そして、物質文明圏と精神文明圏を一つに結ぶシルクロードもありました。世界が一つになっていく基礎ができていたのです。
それ故、当時のユダヤ教徒が、イエス様をメシヤとして受け入れ、イエス様の教えが全世界に伝えられたならば、いわば体のような世界である物質文明圏と、心のような世界である精神文明圏とが心身統一を成し、一つに結ばれて「人類一家族世界」が実現するチャンスの時だったのです。
ところが、当時絶大な基盤を築いていたユダヤ教(注:ローマ帝国の人口の4分の1がユダヤ教徒)が、イエス様を受け入れることができず、むしろ偽キリストとして排斥し、迫害し、十字架の道へ追いやってしまったため、その時代において神様の願いであった「人類一家族世界」を実現していくことができなかったのです。
イエス様は「私は再び来る」との預言を残し、ユダヤ教の代わりにイエス様を救い主として受け入れたキリスト教の歴史が出発していきました。
※動画版「脱会説得の宗教的背景 第2回 再臨主の来られる場所」はこちらから