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脱会説得の宗教的背景 3
全ての宗教と全ての思想を和合し得る「統一原理」

教理研究院院長
太田 朝久

 YouTubeチャンネル「我々の視点」で公開中のシリーズ、「脱会説得の宗教的背景/世界平和を構築する『統一原理』~比較宗教の観点から~」のテキスト版を毎週火曜日配信(予定)でお届けします。
 講師は、世界平和統一家庭連合教理研究院院長の太田朝久(ともひさ)氏です。動画版も併せてご活用ください。

神本主義と人本主義の対立
 次に、神本主義と人本主義(ヒューマニズム)の対立の問題があります。
 「統一原理」は、この神本主義と人本主義の考えを一つに和合するものを持っています。

「唯物論か唯心論か」
 そしてまた、極めて重要な論争の一つとして唯物論と唯心論の問題があります。
 “唯物論”、すなわち宇宙の根本は物質であり、その物質から精神が派生したと考える思想です。
 それに対して、従来のキリスト教では、無形なる神がいらっしゃり、その神が「無」から宇宙を創造されたと考える“唯心論”という考え方があります。

 この「唯物論か唯心論か」という考え方が基礎となって、今日の共産主義圏と自由主義圏の戦いが生じています。
 この「唯物論か唯心論か」という問題は、人類を滅亡に追い込んでしまいかねないほどの深刻な問題となっています。

唯物論と唯心論を和合する唯一論
 実は「統一原理」は、精神の原因も、物質の原因も共に唯一なる神の中にあるという考え方を持っており、今日まで対立してきた唯物論と唯心論を一つに和合する考え方を持っています。これを「唯一論」と呼んでいます。

 さらに、東洋思想の陽・陰、そして西洋思想の唯心(性相)・唯物(形状)、これらの考え方を「統一原理」は一つの理論体系の中で、一つに和合する考え方を持っています。

 以上、さまざまな思想や宗教観の違いを指摘し、今日の世界における“宗教紛争”や“思想的対立”となり得る問題点を取り上げてきましたが、これらの宗教紛争と思想的対立の火種となる内容を、「統一原理」は一つの思想体系の中に和合させていくパラダイムを持っています。
 この点の詳細については、順次説明していこうと思います。

「統一原理」はシンクレティズムか?
 ところで、以上のことを述べていくと、「統一原理」はシンクレティズム(宗教混合主義)を目指しているのかという批判を受けそうです。
 しかしこれはシンクレティズムではありません。
 「統一原理」を解説した『原理講論』では、この点について次のように述べています。

 「人間を命の道へと導いていくこの最終的な真理は、いかなる教典や文献による総合的研究の結果からも、またいかなる人間の頭脳からも、編みだされるものではない。…この真理は、あくまでも神の啓示をもって、我々の前に現れなければならないのである」(37~38ページ)

 あくまでも“神様の啓示”によって説き明かされた一つの理論であり、天地創造をなされた「唯一神」から出てきた理論体系なのです。
 それ故、全ての宗教と全ての思想を和合し得る思想を持っているのです。

再臨主によって全ての宗教と思想が一つに
 すなわち神は、選民(ユダヤ教、またはキリスト教)に対して、「メシヤを迎え得る選民としての準備をするようにされた…異邦人たちに対しては、これとほとんど同時代に、インドの釈迦牟尼(しゃかむに)によってヒンドゥー教を発展せしめ、仏道(ぶつどう)の新しい土台を開拓するように道を運ばれたし、ギリシャでは、ソクラテスの手でギリシャ文化時代を開拓せしめ、また、東洋においては、孔子(こうし)によって儒教をもって人倫道徳を立てるようにされるなど、各々、その地方とその民族に適応する文化と宗教を立てられ、将来来られるメシヤを迎えるために必要な、心霊的(しんれいてき)準備をするように摂理されたのである。それゆえに、イエス(メシヤ)はこのように準備された基台の上に来られ、キリスト教を中心としてユダヤ教(Hebraism)を整理し、ギリシャ文化(Hellenism)、および、仏教(Buddhism)と儒教(Confucianism)などの宗教を包摂することによって、その宗教と文化の全域を、一つのキリスト教文化圏内(人類一家族世界)に統合しようとされた」(484ページ)と記されています。

 すなわち、再臨主が持ってこられる真理(統一原理)によって、全ての宗教と思想が一つになるように、神はやがて来られるメシヤのために全てを準備しておられたということが分かるために、あらかじめそれぞれの地域や文化、民族、時代圏に合わせて、それぞれに真理の一部分を分担させて、「啓示」として与えておられたと言えるのです。

 次回から、ここで述べた内容について、順次説明していきます。

※動画版「脱会説得の宗教的背景 第1回 家庭連合に反対する二つの勢力」はこちらから