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青少年事情と教育を考える 238
教員の精神疾患による退職が過去最多

ナビゲーター:中田 孝誠

 学校現場の深刻な問題の一つが、毎年、多くの学校教員が精神的な病で退職していることです。
 2021年度には、退職者が公立小中高合わせて過去最多の953人に上ったことが、文部科学省の最新の調査で分かりました。3年前の前回調査(782人)より171人増加しました。

 文科省が先月28日に公表した『学校教員統計中間報告』で、3年に1回実施されています。
 それによると、小学校の離職者は定年が7957人、定年以外が7016人です。その中で精神疾患による退職教員は約8%に当たる571人で、3年前の前回調査より114人増えました。

 また、中学校では定年による退職が4823人、定年以外が3625人。精神疾患による退職者は277人で、前回より35人増えました。定年以外の退職者の7.6%に当たります。

 さらに高校では定年による退職が3569人、定年以外が2011人。そして精神疾患による退職者は105人で、前回より22人増えました。定年以外の退職者の5.2%に当たります。

 授業時数の見直しなど教員の働き方改革が進められていますが、教員をどう支えていくかは引き続き大きな課題です。

 一方で、採用者数を見ると公立小中学校でおおむね増加しています。これは団塊の世代に当たる教員の大量退職に伴い、採用者数が増えたことが要因としてあります。
 それでも各地で教員の不足が問題になっており、人材確保は重要な課題です。

 以前も書きましたが、教員採用の取り組みとして一部の自治体が導入しているのが、大学3年生の段階で1次試験を受験できる制度や、免許を後から取得することを条件に採用枠を設けるケースです。受験年齢の制限を撤廃する自治体もあるなど、人材確保の取り組みが広がっています。

 大学3年生で受験できる制度は、東京都や千葉県千葉市、富山県などで実施されています。民間企業の採用より前に優秀な人材を確保するという狙いもあります。
 また、教員免許を持っていない学生や社会人の採用枠は埼玉県などが導入しています。

 ただ、こうした対応は大学での学びによって教員としての資質や適性をどのように身に付けるかが前提になければならないはずです(民間企業の早期の“囲い込み”にもいえることですが)。実際、このような新しい取り組みについて懸念する声も一部にあります。

 教員の働き方改革はもちろん、採用も民間より先に人材を確保するというだけでなく、教員としての資質をどう身に付けてもらうかが優先課題になるはずです。