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青少年事情と教育を考える 237
特殊詐欺に関わる少年犯罪の防止

ナビゲーター:中田 孝誠

 警察庁が、少年の非行や犯罪被害を防止する啓発資料『少年からのシグナル』をウェブサイトで公開しています。

 それによると、昨年1年間に刑法犯で検挙された少年は1万4887人で、過去20年ほどはおおむね減少傾向にあります。ただ、今年上半期は8511人で昨年を上回るペースの人数になっています。

 その中で、近年大きな問題になっているのが大麻の使用、そして特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺など)に関わる少年の増加です。
 このうち、特殊詐欺によって昨年検挙された少年は473人に上り、成人を含む全体(2458人)の2割(19.2%)を占めました。

 コロナ禍前の2018年(812人、全体の28.6%)と比較すると減っていますが、5人に1人の割合で少年が関わっているという事態は深刻です。多くは「受け子」という現金の受け取り役でした。

 こうした少年の多くは、SNSなどで闇バイトといわれる違法な求人に応募していたケースです。
 このため、警察庁は『犯罪実行者募集の実態〜少年を「使い捨て」にする「闇バイト」の現実』という啓発資料を、同じくウェブサイトに掲載しました。

 この中では、少年が闇バイトに応募し犯罪に加担するまでの基本的なパターンとして、①自らSNSで「高額報酬」などを検索・応募、②犯行グループから連絡が入り、以降、匿名性の高いアプリでやりとり、③犯行グループに言われるがまま個人情報を送信、④犯罪行為への加担を拒否すれば犯行グループが個人情報を基に脅迫、という流れがあることを紹介しています。

 また、他にも先輩や友人・知人に誘われたり、SNSで知り合った相手から仕事を紹介すると言われて犯行グループに関わるようになることもあります。

 そして、犯罪に加担しようとする少年に対して悲惨な現実をしっかりと伝えて少年たちの道徳心に訴えかけること、犯罪行為の認識が薄い少年に対しては、犯罪グループから簡単に抜け出せない仕組みと予防策を啓発するよう呼びかけています。