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うまくいく夫婦仲の法則 28

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。

松本 雄司・著

(光言社・刊『二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則』〈200251日初版発行〉より)

第四章 どのようにして夫婦愛を育てるか

3 二人が仲の良い夫婦になるには

※「A愛妻度」は第20回、「B愛夫度」は第21回を参照

⑦「出会いの10分、別れの5分」(A-③B-①

 出迎えや見送りのときに、最大限の真心を尽くすことによって、深い愛情が伝わります。

 まず第一に、大切なことは、「出会いの10分」です。

 夫や子供が、「ただいま!」と帰っても返事がない……。それはショックです。また「お帰りなさい……」と言うだけで、テレビを見たまま動こうともしない。これだと夫はがっかりです。「何だ、おれは妻や子供のためにと思って苦労しながら働いているのに、妻はこの程度にしかおれを迎えてくれないのか」と愛情は冷めて、やる気も消えていきます。ましてや、「ただいま!」と帰ってきたのに、「おかえり」も言わず、電話を20分も30分も続けているようだったら、夫は怒り心頭に発して、口もきかなくなるかもしれません。そうすると、あとでどんなに時間をかけてご機嫌をとっても、もはや手後れなのです。

 「ただいま」と帰ってきたら、玄関まで飛んで来る奥さん。また「お帰りなさーい!」と言って首に飛びついてくるような奥さんだったら最高です。「いやぁ、こんなに私を待っていてくれたのか、いとおしい妻だ」と思います。

 それから、夫が帰ってきたら、最低10分間は、子供の世話や家事の手を休めて、夫のためにのみ生きてください。身の回りの世話でもよいし、お茶を入れてあげてじっくり今日の報告をするのも良いし、夫に安らぎと慰労を与えてください。そうすれば、妻の愛情がよく伝わり、夫から明るい笑顔とやさしい愛情が返ってきます。

 また、夫の方も、帰ったときは、まず、妻の姿を探して「ただいま!」と元気な声をかけてあげ、「今日は何か、良いことがあったかい?」というくらいの愛情を込めた語り掛けをしてあげることです。そして、せめて10分くらいは、じっくり妻の苦労話を聞いてあげ、「大変だったね」と同情してあげるような配慮ができれば、妻から嬉しそうな笑顔と、サービスが返ってくるでしょう。

 もう一つ大切なのは、「別れの5分」です。

 別れの5分と言うのは言うまでもなく、夫や子供が会社や学校に出て行くときのことです。

 夫が勤務や出張に出て行くとき、あなたはどこまで見送りますか? 玄関の上がり口まで見送るのはよい方で、家事や子供の世話があれば、それもしていないことが多いかもしれません。「妻は子供の相手をしているのだから仕方がない」と一応、夫は頭で納得させてはいますが、気持ちは決して嬉しいものではありません。

 先日、友人が急逝したので通夜に行ったとき、その奥さんが目を真っ赤にしながら言いました。「こんなことになるんなら、せめて、気持ちよく元気に送ってあげればよかった!」。その朝、夫婦は喧嘩して、夫は朝ご飯もろくに食べないまま出ていったと言うのです。それが、彼を見送った最後の姿でした。

 昔から「一期一会」という言葉があります。人との出会いは、「これが一生に一度、最初で最後の出会い」という覚悟で接しなさいということです。夫を見送るときも同じです。これが最後かもしれないというくらいの気持ちで見送らなければなりません。仕事先や通勤途中で事故に遭うかもしれないのです。そういう意味で、帰ってきたときに「待ってました」と飛びつくくらいに迎えてくれたら、夫も心底嬉しいものです。

 私は、夫が出かけるときは、玄関の外まで出て、後ろ姿が見えなくなるまで見送ることをお勧めします。

 若い頃こんな思い出があります。私は中学まで大分県の国東(くにさき)という田舎で育ちましたが、高校からは親元を離れ、別府市に行き、賄(まかな)い付きの下宿で生活しました。3年間、1年ごとに変わって、三つの家庭で生活しました。今思えば、「他人の釜の飯を食べさせよ」という親の深い配慮だったのでしょう。

 その1年生のときのことです。別府大仏の近くのAさんというサラリーマンの家庭に下宿しました。学校は1日8時間授業、夏休みも1週間だけというハードな学校で、田舎から出てきた私には一学期は心身ともに大変でした。最初の夏休みに入り、実家に帰るとき、おばさん(その家の奥さん)が門の外まで出てきて、見送ってくれました。私は礼を言って「じゃあ、いってきます!」と言ってバス停に向かいました。しばらく歩いて振り返ると、おばさんがまだじっと立ってこちらを見ていました。私はまた一礼をして歩いていきました。100メートルほど歩いて、角を回るときふと見ると、門の側の路上にまだおばさんが立ってこっちを見て手を振っています。驚いた私は、もう一度大きく手を振って角を曲がりました。そんなことは生まれて初めてのことでした。その情景は40年近く経った今も心に焼き付いています。なんとも言えない温かい気持ちを背中に感じ故郷に向かったことを思い出します。

 たとえ家事や子供の世話で忙しくとも、夫の出かけるときは、玄関の外まで出て、後ろ姿が見えなくなるまで見送ってはどうでしょうか。そうすれば、夫は妻の温かい愛情を背中に感じながら一日を出発できるのです。これは理屈ではありません。愛情の表現なのです。やれば愛情が伝わるし、やらなければ何も伝わらないのです。

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 次回は、「相手の良いところを褒めよう」をお届けします。


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