2023.08.07 17:00
コラム・週刊Blessed Life 275
中国を襲った台風と豪雨
新海 一朗
中国を襲った台風と豪雨が、首都北京とその周辺に甚大な被害を及ぼし、さながら阿鼻(あび)叫喚の地獄絵を見るような映像がテレビやネット、SNSなどで流れています。
多くの車が流され、中には水没した家屋も見られます。多くの人々は避難を余儀なくされています。流された多くの車には人が乗っており、北京の路上には多数の死体が散乱していると住民たちは証言しています。想像を超える映像が次から次に流れています。
7月29日より台風5号「トクスリ」が北上しながら、中国北部の五つの省を襲いました。
大雨が降り続け、北京当局は洪水により北京から12万人以上が避難したと発表しました。当局は31日までに2人が死亡したと伝えていますが、実際の死亡者数については不明です。
房山区と門頭溝区の降水量だけでも2012年7月21日の北京豪雨の時より多いと当局は伝えています。
連日の豪雨により北京のあちこちでまれに見る洪水が発生、永定河が氾濫し、多くの車が流され、橋が崩れ、家屋が倒壊しましたが、中国共産党当局は災害に関するニュースを制限しています。
7月31日、北京市門頭溝区で鉄砲水が発生し、多数の車が流されました。房山区青龍湖鎮の北車栄村では、洪水が村に押し寄せ、水は2階まで到達しています。あまりにも大き過ぎる洪水です。房山区河北鎮は浸水し、多くの家屋が屋根部分しか見えていない状態です。
北京気象台は赤色暴風雨警報を発令し、7月31日から8月1日にかけて市内の一部地域で記録的な豪雨となる可能性があるとしていました。
門頭溝区からは約5000人が避難し、現在、門頭溝区のほとんどの地域で通信が遮断されています。
SNSに投稿されたスクリーンショットによると、微博(ウェイボー)では、門頭溝区の洪水に関する話題がブロックされ始めているということです。SNSでは各地域の災害状況が続々と投稿されている他、映像なども多く投稿されています。
北京市房山区周口店鎮にある物流センターでは、80人以上が洪水に巻き込まれ、速達小包や高さ2メートルの貨物トラックまでもが流されました。洪水がとめどなく威力を増し、それに連れてセンター内の荷物はほとんど流されました。従業員は倉庫の屋根に上って避難し救助を待つしかない状況です。SNSから発信される投稿で、想像を絶する被害状況が分かります。
台風5号に続いて台風6号「カヌーン」が中国沿岸に接近しています。
中国気象台の7月31日午後の予報によれば、カヌーンは最大風速に達し、北西方向に進んでいます。カヌーンは勢力を増し続け、超大型となり、2度方向を転換し、台湾を迂回(うかい)して、中国東部沿岸に達するといわれています。
中国では、皇帝の不徳により天災が下るという言い伝えがあり、共産党政治の腐敗、その中心に座する習近平の独裁政治の締め付けなど、皇帝の不徳は高じており、そういった言い伝えとの因果関係は不明であるとはいえ、内政面、外交面、内外にわたる政策の失敗が人民を苦しめていることは否定できません。
天災被害は中国に限ったことではありませんが、頻発する大規模な水害に、「人災」であるとの指摘も少なくありません。
政治の中心、北京がこれだけの災害を受けた事実は無視できないことであり、共産党政治への天の警告と受け止めたいところです。